西中島南方駅より徒歩7分の不動産会社

BLOG ブログ

路線価、地価公示、固定資産税評価額について徹底解説!

毎年ある時期になると「今年の路線価が公表されました」、「今年の公示価格が公表されました」、というニュースが流れます。

このようなニュースに対し、普段はさほど気になさらないかもしれませんが、不動産を売却することを意識されるようになると気になるものではないでしょうか。 今回は、公的機関が公表する、路線価、地価公示、固定資産税評価額について、お話し致します。

路線価とは

一般的に路線価には、国税庁によって定められている「相続税路線価」と、市町村長(東京都は都知事)によって定められている「固定資産税路線価」があります。
ここでお話しする路線価とは「相続税路線価」で、「固定資産税路線価」については固定資産税評価額のところでお話しします。

一般的に、相続税や贈与税の計算基準を示す路線価を「相続税路線価」といいます。
正しくは、国税庁が作成している財産評価基準書に路線価や評価倍率などがあり、その価格を指します。
価格は毎年評価されており、毎年7月1日に公表されています。

路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。
なお、路線価が定められていない地域があります。
都市部は概ね路線価がありますが、郊外は路線価がない地域があります。
路線価がない地域は、評価倍率表を用います。
調べたい土地不動産が、路線価を用いて評価されるか、評価倍率を用いて評価されるかは、国税庁のウェブサイト「路線価図・評価倍率表」で判断することができます。

路線価は、地価公示価格の8割を目安に算出されています。
後述しますが、「固定資産税路線価」は、地価公示価格の7割を目安に算出されています。
国税庁によって定められている「相続税路線価」も、市町村長(東京都は都知事)によって定められている「固定資産税路線価」も、「地価公示価格」が算出の根拠として用いられています。

参考:路線価図・評価倍率表【国税庁】

相続税や贈与税の計算には、相続税路線価

先述のとおり、「相続税路線価」は、相続税や贈与税の計算基準を示す路線価として使われます。
そのため、相続などによって税金を算出するときには重要な指標となります。
ただし評価については、対象不動産によって補正が必要です。
例えば、下記のような事例が考えられます。

1. 再建築時にセットバックが必要である場合
2. 土地の奥行きが極端に短い、もしくは長い場合
3. 土地が角地、もしくは二方路線、三方路線などに接している場合
4. 土地が不整形地である場合
5. 地積(土地面積)が極端に大きい場合
6. 建築基準法上の道路に接道していない場合
7. 間口が極端に狭い場合
8. がけ地等がある場合
9. 土砂災害警戒区域にある場合
10. 2つの異なる用途地域にまたがっている場合
11. 建ぺい率や容積率が超過している場合
12. 違反建築物もしくは既存不適格建築物に該当する場合
13. 都市計画道路の予定がある土地の場合
14. 実測した面積と登記簿に記載されている公簿面積が異なる場合
以上、上記にあげた例以外にも、さまざまなケースがあり得ます。
これらは、実際に不動産売買を行うときに査定する価格にも影響します。

相続の準備や初期相談については、司法書士に依頼することが望ましいと考えます。
相続税や贈与税の価額を計算することについては、税理士に依頼することが望ましいと考えます。
相続が争族になる(なった)場合は、弁護士に依頼することが望ましいと考えます。
どちらにせよ、不動産の評価は、当然不動産に関する知識が求められます。
相続する財産で大きなところを占めるものが不動産であるという方は、多いでしょう。
「相続に強い司法書士」や「相続に強い税理士」というキャッチコピーをよく見かけますが、不動産に関する知識や実績の有無が、見極める1つのポイントになろうかと考えられます。
最近では、各士業の方から不動産査定の依頼が増えています。
私たちも、目利きし査定できる能力がますます問われていることを感じています。

地価公示とは

地価公示とは、国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて、標準地を選定し、鑑定評価員による鑑定評価をもとに、毎年1月1日時点における標準地の1平方メートルあたりの正常な価格を判定し、公表するものです。

土地鑑定委員会が定める標準地は、令和5年の地価公示では全国26,000地点に選定されています。
それぞれの標準地に2人以上の不動産鑑定士による鑑定評価を求め、その結果を審査され、必要な調整を行って、一定の基準日における標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定され、公示されたものです。
価格は毎年公示されており、毎年3月頃に公表されています。

地価公示の役割は、下記のように公表されています。
1. 一般の土地の取引に対して指標を与えること
2. 不動産鑑定の規準となること
3. 公共事業用地の取得価格算定の規準となること
4. 土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
5. 国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること、等

先述しましたとおり、「地価公示価格」は「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の算出の根拠としても用いられている重要な指標です。
不動産取引は、プライバシーや守秘義務の側面より、実際の取引価格が不透明であることが長く課題とされてきました。
そこで平成18年4月に、不動産市場の信頼性と透明性を高め、不動産取引の円滑化、活性化を図るために、不動産の取引価格情報提供制度がスタートしました。
これは、不動産取引の際に、判断の材料となる情報が不足していることから、誰でも安心して不動産の取引を行えるように、数多くの取引価格情報を蓄積し、提供していく国の制度です。
誰でも、わかりやすく、安心して不動産の取引を行えるようにすることが目的とされており、不動産の取引価格情報を公表されることによって、市場の透明性が増し、取引が円滑になり、不動産の価格の目安が立てやすくなり、不動産の鑑定評価の信頼性が高くなるというものです。
地価公示価格の算出にも、蓄積された情報が活用されています。

参考:地価公示【国土交通省】

参考:地価公示【大阪府】

参考:土地総合情報システム【国土交通省】

基準地価とは

公示価格には、「基準地価」(基準地価格)もあります。
先述しました「地価公示価格」は、国土交通省の土地鑑定委員会が定めました。
「基準地価」(基準地価格)は、各都道府県が、1人以上の不動産鑑定士による鑑定評価を求め、その結果を審査され、必要な調整を行って、毎年7月1日時点における基準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、公表するものです。

基準地は、令和5年の地価公示では全国21,444地点に選定されています。
価格は毎年公示されており、毎年9月20日頃に公表されています。

基準地価(基準地価格)の基準地は、都道府県が定めますが、地価公示の標準地と共通することもあり、互いを補完するというように考えて利用するといいでしょう。

固定資産税評価額とは

先述しました路線価で、市町村長(東京都は都知事)によって定められている「固定資産税路線価」があるとお話ししました。
「固定資産税路線価」は、土地基本法第16条により、「国は適正な地価形成及び課税の適正化に資するため、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるよう努めること」と規定されています。
そのため「固定資産税路線価」は、地価公示価格の7割を目安に算出されています。
なお、大阪市では、「地価公示価格および不動産鑑定士による鑑定評価から求めた価格等を活用し、これらの価格の7割を目途として求めます」と、されています。

「固定資産税路線価」は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税の算出基準となる価格として使われます。
その価格は3年に1度見直されるようになっており、3年に1回の基準年度があります。
なお、固定資産税は、市町村が毎年1月1日現在の土地、家屋等の固定資産の所有者に対し、固定資産税評価額をもとに課税する税金です。
市町村(および東京都)は、毎年3月31日までにすべての固定資産に対し価格を決定し、決定後、遅滞なく「固定資産税路線価」を公表することとなっています。
決定された価格に基づき、1月1日現在の土地、家屋等の固定資産の所有者に対し、固定資産税等を通知し課税するようになっています。

「固定資産税路線価」は、固定資産税路線価図として各市町村(東京都)のホームページ等で公開されているところが多くあります。
ご自身が所有されている不動産の固定資産税評価額を参考に検索していただくことも良いと思います。

参考:宅地の評価の流れ>5 標準宅地の適正な時価の評定【大阪市】

建物の固定資産

建物の固定資産については、家屋として固定資産税が賦課されています。
建物(家屋)の固定資産税評価額は、その建物(家屋)を再建築するためにかかる費用(再建築価格)の50~70%程度になります。
建物(家屋)の面積や、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの構造によっても価格が変わります。
建物(家屋)の新築時は再建築価格の50~70%程度で評価され、その後は経年減点補正比率により減価されていき、再建築価格の20%が下限とされています。
なお、経年減点補正率とは、経年劣化による建物(家屋)の減価を表した補正率のことです。
建物(家屋)は、建築年数によって減価されていきます。

木造住宅の経年減点補正比率は10年で0.50となっているため、固定資産税評価額は10年でおよそ半分になります。
27年経過以降は経年減点補正比率が0.20で固定されますので、木造住宅の建築年数が27年以降の場合は、再建築価格の20%程度として評価されています。

非木造住宅、例えば鉄筋コンクリート造の住宅の場合は、経年減点補正比率は20年で0.5054となっているため、固定資産税評価額は20年でおよそ半分になります。
45年経過以降は経年減点補正比率が0.20で固定されますので、非木造住宅の建築年数が45年以降の場合は、再建築価格の20%程度として評価されています。

終わりに

今回は、不動産売買価格の指標となる「路線価、地価公示、固定資産税評価額」について、お話し致しました。

毎年1月1日時点の価格を、毎年3月頃に公表されるのは、「地価公示価格」です。
3年毎にある基準年度の1月1日時点の価格を、毎年3月31日までに決定し遅滞なく公表されるのは、「固定資産税路線価」です。
毎年1月1日時点の価格を、毎年7月1日に公表されるのは、「相続税路線価」です。
毎年7月1日時点の価格を、毎年9月20日頃に公表されるのは、「基準地価(基準地価格)」です。

それぞれ調査や公表の主体となるところも違いますが、公示され信頼性があるものといえるでしょう。
ただし、実際に取引される価格は、それぞれの物件の特性、所有者の事情や意向、競合となる物件の有無による市場の状況、経済事情や金融事情などの影響があります。
そのため、個人的には、単純化することには無理があると考えられます。
先述しました信頼性の高い情報を参考に、個別の事情を勘案して対応するという力が求められそうです。