
コンプライアンスという概念が強調されるようになったのは、2000年代になってからであり、必ずしもその歴史は古くはないようです。
しかし、それに先立って昭和40年代後半頃には、公害問題などを契機として、「企業の社会的責任」という概念が取り沙汰されるようになりました。
前回、コンプライアンスに関連する重要項目の1つとして、不動産取引にかかるマネー・ロンダリング対策について取り上げました。
不動産売買は基本的に高額な取引であることから、疑わしい取引については慎重に判断しなければなりません。
ほかにも、反社会的勢力の排除に関する取組みも、重要な項目です。
暴力団等の反社会的勢力は、組織形態を巧妙に隠蔽しながらさまざまな経済活動への進出を強めています。
そのため、社会全体で暴力団排除などの対策が進められています。
今回は、不動産取引にかかる反社会的勢力の排除に関する取組みについて、お話し致します。
不動産業における反社会的勢力の排除に関する取組み

近年の暴力団などの反社会的勢力は、組織形態を巧妙に隠蔽しながら、暴力団関係者や共生者を利用して、不動産取引をはじめさまざまな経済活動への進出を強めています。
そのため、これまで以上に反社会的勢力を社会から排除する必要が高まっています。
そのため、これまで以上に反社会的勢力を社会から排除する必要が高まっています。
序論
政府では、2007年(平成19年)6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)」が取りまとめられました。
さらに、 2010年(平成22年)12月には「企業活動からの暴力団排除の取組について(暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム)」が取りまとめられました。
また、いわゆる暴力団排除条例についても、 2011年(平成23年)10月をもって全都道府県で施行されるなど、社会全体で暴力団排除の対策が進められています。
このような社会情勢を背景に、不動産業界においても、「反社会的勢力の排除」という時代の要請に適切に対応するため、2007年(平成19年)12月に、不動産業関係6団体により、「不動産業における犯罪収益移転防止及び反社会的勢力による被害防止のための連絡協議会(以下、連絡協議会という)」が設置され、様々な取組みが進められてきました。
そうした中で、 2011年(平成23年)には、国土交通省および警察署を交えた検討を踏まえ、不動産取引における契約書に盛り込むべき暴力団排除に関するモデル条項が策定されました。
また、同年9月には、警察庁や全国暴力追放運動推進センターなどの外部専門機関と不動産業界との連携強化などを目的とした「不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会」が設置され、第1回の連絡会において、「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」が採択されるなど、不動産業における反社会的勢力排除の姿勢・取組みが、着実に進められています。
以下では、国全体および不動産業界での取組みについて説明します。
さらに、 2010年(平成22年)12月には「企業活動からの暴力団排除の取組について(暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム)」が取りまとめられました。
また、いわゆる暴力団排除条例についても、 2011年(平成23年)10月をもって全都道府県で施行されるなど、社会全体で暴力団排除の対策が進められています。
このような社会情勢を背景に、不動産業界においても、「反社会的勢力の排除」という時代の要請に適切に対応するため、2007年(平成19年)12月に、不動産業関係6団体により、「不動産業における犯罪収益移転防止及び反社会的勢力による被害防止のための連絡協議会(以下、連絡協議会という)」が設置され、様々な取組みが進められてきました。
そうした中で、 2011年(平成23年)には、国土交通省および警察署を交えた検討を踏まえ、不動産取引における契約書に盛り込むべき暴力団排除に関するモデル条項が策定されました。
また、同年9月には、警察庁や全国暴力追放運動推進センターなどの外部専門機関と不動産業界との連携強化などを目的とした「不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会」が設置され、第1回の連絡会において、「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」が採択されるなど、不動産業における反社会的勢力排除の姿勢・取組みが、着実に進められています。
以下では、国全体および不動産業界での取組みについて説明します。
犯罪対策閣僚会議 幹事会申合せ
(1)2007年(平成19年)6月19日
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」
反社会的勢力との関係遮断のための取組みを一層推進する必要(企業にとっても、社会的責任・企業防衛の観点から必要かつ重要)
【基本原則】
① 組織としての対応
② 外部専門機関との連携
③ 取引を含めた一切の関係遮断
④ 有事における民事と刑事の法的対応
⑤ 裏取引や資金提供の禁止
【基本原則に基づき求められる対応】
① 警察・暴力追放運動推進センター、弁護士などの外部専門機関との平素からの緊密や連携関係の構築
② 契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入
(2)2010年(平成22年)12月9日
「企業活動からの暴力団排除の取組について」
① 政府が今後、さらに取り組むべき政策を取りまとめ
② 各府省は、関係業界に対する指針の更なる普及啓発に努め、とりわけ以下について具体的な取組がなされるよう留意する
1. 暴力団との関係遮断の内外への宣言
2. 取引約款などへの暴力団排除条項の導入
3. 反社会的勢力データベースの構築
4. 外部専門機関との緊密な連携関係構築
③ 各府省は、業界団体による業種ごとの標準契約約款に盛り込むべき暴力団排除条項のモデル作成を支援する
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」
反社会的勢力との関係遮断のための取組みを一層推進する必要(企業にとっても、社会的責任・企業防衛の観点から必要かつ重要)
【基本原則】
① 組織としての対応
② 外部専門機関との連携
③ 取引を含めた一切の関係遮断
④ 有事における民事と刑事の法的対応
⑤ 裏取引や資金提供の禁止
【基本原則に基づき求められる対応】
① 警察・暴力追放運動推進センター、弁護士などの外部専門機関との平素からの緊密や連携関係の構築
② 契約書や取引約款への暴力団排除条項の導入
(2)2010年(平成22年)12月9日
「企業活動からの暴力団排除の取組について」
① 政府が今後、さらに取り組むべき政策を取りまとめ
② 各府省は、関係業界に対する指針の更なる普及啓発に努め、とりわけ以下について具体的な取組がなされるよう留意する
1. 暴力団との関係遮断の内外への宣言
2. 取引約款などへの暴力団排除条項の導入
3. 反社会的勢力データベースの構築
4. 外部専門機関との緊密な連携関係構築
③ 各府省は、業界団体による業種ごとの標準契約約款に盛り込むべき暴力団排除条項のモデル作成を支援する
暴力団排除条項の導入
2007年(平成19年)12月に設置された連絡協議会において、2009年(平成21年)から国土交通省、警察庁による支援のもと、暴力団排除条項策定等の検討が開始され、2011年(平成23年)にモデル条項が導入されました。
宅地建物取引業者は、不動産取引を行う際には、暴力団など反社会的勢力による被害を防止するため、暴力団等反社会的勢力が契約当事者などとして関与することがないように、暴力団等反社会的勢力を排除するための条項を不動産取引の契約書に導入するよう求められています。
当該条項の概要は次のとおりです。
① 自ら(役員を含む)が、暴力団など反社会的勢力でないことを確約する。
② 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないことを確約する。
③ 自らまたは、第三者を利用して、次の行為をしないことを確約する。
1. 相手方に対する脅迫的な言動または暴力を用いる行為
2. 偽計または威力を用いて相手方の業務を妨害し、または信用を毀損する行為
→ 確約に反する申告、契約行為をした場合には、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる。解除された者は、その相手方に対し、違約金(売買代金の20%相当額)を支払う。
④ 買主は、自らまたは第三者をして、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しないことを確約する。
→ 買主が確約に反し、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供した場合には、売主は、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる。
→ 買主は売主に対し、違約金(売買代金の20%相当額)を支払うことに加え、違約罰(売買代金の80%相当額)を支払う。
なお、このような暴力団排除情報については、一部の専門法律専門から、憲法第14条第1項(法の下の平等)および第22条第1項(居住・移転の自由)に反し違憲無効である旨の主張がなされたが、後述します「西宮市市営住宅条例の合憲性に関する最高裁平成27年3月27日判決」が参考となるでしょう。
宅地建物取引業者は、不動産取引を行う際には、暴力団など反社会的勢力による被害を防止するため、暴力団等反社会的勢力が契約当事者などとして関与することがないように、暴力団等反社会的勢力を排除するための条項を不動産取引の契約書に導入するよう求められています。
当該条項の概要は次のとおりです。
① 自ら(役員を含む)が、暴力団など反社会的勢力でないことを確約する。
② 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないことを確約する。
③ 自らまたは、第三者を利用して、次の行為をしないことを確約する。
1. 相手方に対する脅迫的な言動または暴力を用いる行為
2. 偽計または威力を用いて相手方の業務を妨害し、または信用を毀損する行為
→ 確約に反する申告、契約行為をした場合には、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる。解除された者は、その相手方に対し、違約金(売買代金の20%相当額)を支払う。
④ 買主は、自らまたは第三者をして、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しないことを確約する。
→ 買主が確約に反し、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供した場合には、売主は、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる。
→ 買主は売主に対し、違約金(売買代金の20%相当額)を支払うことに加え、違約罰(売買代金の80%相当額)を支払う。
なお、このような暴力団排除情報については、一部の専門法律専門から、憲法第14条第1項(法の下の平等)および第22条第1項(居住・移転の自由)に反し違憲無効である旨の主張がなされたが、後述します「西宮市市営住宅条例の合憲性に関する最高裁平成27年3月27日判決」が参考となるでしょう。
暴力団排除条例の施行
暴力団排除条例が、2011年(平成23年)10月1日に全都道府県で施行されました。
(1)不動産所有者(売主・貸主)の責務 ※各都道府県ほぼ共通です
① 契約をしない義務
暴力団事務所の用に供されることを知って、譲渡等にかかる契約をしてはならない。
② 確認義務
譲渡等に係る契約の締結の前に、暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努める。
③ 明文義務
譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項を定めるよう努める。
1. 暴力団事務所の用に供してはならないこと
2. 暴力団事務所の用に供されることが判明したときは、催告をすることなく当該契約を解除し、まだは当該不動産を買い戻すことができること
④ 解除義務
暴力団事務所の用に供されることが判明した場合は、速やかに当該譲渡等に係る契約を解除し、または当該不動産を買い戻すよう努める。
(2)代理または媒介をする者の責務 ※各都道府県ほぼ共通です
① 譲渡等にかかる契約の当事者に対し、不動産所有者(売主・貸主)の責務に関する規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
② 暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、譲渡等に係る契約の代理または媒介をしてはなりません。
(1)不動産所有者(売主・貸主)の責務 ※各都道府県ほぼ共通です
① 契約をしない義務
暴力団事務所の用に供されることを知って、譲渡等にかかる契約をしてはならない。
② 確認義務
譲渡等に係る契約の締結の前に、暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努める。
③ 明文義務
譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項を定めるよう努める。
1. 暴力団事務所の用に供してはならないこと
2. 暴力団事務所の用に供されることが判明したときは、催告をすることなく当該契約を解除し、まだは当該不動産を買い戻すことができること
④ 解除義務
暴力団事務所の用に供されることが判明した場合は、速やかに当該譲渡等に係る契約を解除し、または当該不動産を買い戻すよう努める。
(2)代理または媒介をする者の責務 ※各都道府県ほぼ共通です
① 譲渡等にかかる契約の当事者に対し、不動産所有者(売主・貸主)の責務に関する規定の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
② 暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、譲渡等に係る契約の代理または媒介をしてはなりません。
関係機関による連携
(1)「不動産業・警察暴力団等廃除中央連絡会」設立
【設立日】
2011年(平成23年9月30日)
【目的】
関係行政機関と不動産業界との連携強化、反社会的勢力排除に関する情報交換、都道府県単位での連絡会組織設置に関する検討など
【構成機関】
国交省、警察庁、不動産関係5団体、(公財)不動産流通推進センター、全国暴力追放運動推進センター、弁護士
(2)関係遮断の内外への宣言
「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」が、2011年(平成23年)10月26日開催の第1回中央連絡会において採択されました。
① 反社会的勢力を恐れない
② 反社会的勢力を利用しない
③ 反社会的勢力に資金を提供しない
④ 反社会的勢力と交際しない
⑤ 反社会的勢力と取引しない
【設立日】
2011年(平成23年9月30日)
【目的】
関係行政機関と不動産業界との連携強化、反社会的勢力排除に関する情報交換、都道府県単位での連絡会組織設置に関する検討など
【構成機関】
国交省、警察庁、不動産関係5団体、(公財)不動産流通推進センター、全国暴力追放運動推進センター、弁護士
(2)関係遮断の内外への宣言
「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」が、2011年(平成23年)10月26日開催の第1回中央連絡会において採択されました。
① 反社会的勢力を恐れない
② 反社会的勢力を利用しない
③ 反社会的勢力に資金を提供しない
④ 反社会的勢力と交際しない
⑤ 反社会的勢力と取引しない
不動産業反社データベース
不動産取引から暴力団などの反社会的勢力の排除を進めるために行う取組みの一環として、不動産業における犯罪収益移転防止および反社会的勢力による被害防止のための連絡協議会において、構成団体の会員事業者向けに、取引の相手方に関する調査の支援ツールとなる、反社会的勢力に関する情報を集約した反社会的勢力排除に係るデータベースが設置されました。
2012年(平成24年)3月1日から運用が開始されています。
2012年(平成24年)3月1日から運用が開始されています。
暴力団排除の条例に関する最高裁判例
兵庫県西宮市では、市営住宅条例において、入居者が暴力団であることが判明した場合には、市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定めていました。
西宮市は、2010年(平成22年)10月頃、入居者が暴力団員であることを知り、住宅と駐車場の明渡しを求めました。
これに対し、当該入居者は、本件条例の定めは、
① 「合理的理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるから、憲法第24条第1項(法の下の平等)に違反する」
② 「本件条例の定めは、必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるから、憲法第22条第1項(居住・移転の自由)に違反する」
として、当該条例の違憲性を理由に争いました。
本件について、最高裁判所は、 2015年(平成27年)3月27日、当該条例の該当規定は、憲法第24条第1項、第22条第1項のいずれにも違反しないとの判決をしました。
その判決理由の要旨は、次のとおりです。
「暴力団員は、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為などを行うことを助長するおそれがある団体の構成員と定義されているところ、このような暴力団員が市営住宅に入居し続ける場合には、当該市営住宅の他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれを否定することはできない。
他方において、暴力団員は、自らの意思により暴力団を脱退し、そうすることで暴力団員でなくなることが可能であり、また、暴力団員が市営住宅の明渡しをせざるを得ないとしても、それは、当該市営住宅には居住することができなくなるというにすぎず、当該市営住宅以外における居住についてまで制限を受けるわけではない。
以上の諸点を考慮すると、本件規定は暴力団員について合理的な理由のない差別をするものということはできない。
したがって、本件規定は、憲法14条1項に違反しない。
また、本件規定により制限される利益は、結局のところ、社会福祉的観点から供給される市営住宅に暴力団員が入居しまたは入居し続ける利益にすぎず、上記の諸点に照らすと、本件規定による居住の制限は、公共の福祉による必要かつ合理的なものであることが明らかである。
したがって、本件規定は、憲法22条1項に違反しない。」
本件は公営住宅に関する判例ですが、その判決の論理は民間の暴力団排除モデル条項にも該当するものと考えられます。
西宮市は、2010年(平成22年)10月頃、入居者が暴力団員であることを知り、住宅と駐車場の明渡しを求めました。
これに対し、当該入居者は、本件条例の定めは、
① 「合理的理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるから、憲法第24条第1項(法の下の平等)に違反する」
② 「本件条例の定めは、必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるから、憲法第22条第1項(居住・移転の自由)に違反する」
として、当該条例の違憲性を理由に争いました。
本件について、最高裁判所は、 2015年(平成27年)3月27日、当該条例の該当規定は、憲法第24条第1項、第22条第1項のいずれにも違反しないとの判決をしました。
その判決理由の要旨は、次のとおりです。
「暴力団員は、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為などを行うことを助長するおそれがある団体の構成員と定義されているところ、このような暴力団員が市営住宅に入居し続ける場合には、当該市営住宅の他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれを否定することはできない。
他方において、暴力団員は、自らの意思により暴力団を脱退し、そうすることで暴力団員でなくなることが可能であり、また、暴力団員が市営住宅の明渡しをせざるを得ないとしても、それは、当該市営住宅には居住することができなくなるというにすぎず、当該市営住宅以外における居住についてまで制限を受けるわけではない。
以上の諸点を考慮すると、本件規定は暴力団員について合理的な理由のない差別をするものということはできない。
したがって、本件規定は、憲法14条1項に違反しない。
また、本件規定により制限される利益は、結局のところ、社会福祉的観点から供給される市営住宅に暴力団員が入居しまたは入居し続ける利益にすぎず、上記の諸点に照らすと、本件規定による居住の制限は、公共の福祉による必要かつ合理的なものであることが明らかである。
したがって、本件規定は、憲法22条1項に違反しない。」
本件は公営住宅に関する判例ですが、その判決の論理は民間の暴力団排除モデル条項にも該当するものと考えられます。
終わりに

今回は、不動産取引にかかる反社会的勢力の排除に関する取組みについて、お話し致しました。
不動産流通の4団体、「公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会」、「公益社団法人全日本不動産協会」、「一般社団法人不動産流通経営協会」、「一般社団法人全国住宅産業協会」は、それぞれ反社会的勢力排除のための標準モデル条項を作成しています。
モデル条項が導入されて10年以上が経過しており、マネー・ロンダリング対策に比べると、一般消費者にも広く知られていることを感じます。
なお、警察から媒介を行った契約の当事者について照会を受けた場合、宅地建物取引業者としてどのように対応を行えばいいでしょうか。
個人情報保護法上、法令に基づく照会を受けた場合には、個人データを第三者に提供することが可能とされていますが、警察から個人データの提供を求められた場合であっても、それが法令に基づいて行われた照会でないにもかかわらず、個人情報を提供すると個人情報法に違反する可能性があります。
また、結果的には、法令に基づいて行われた照会であったとしても、個人データを取り扱う宅建業者としては、照会を受けた場合、それが法令に基づいて行われたものかどうかを確認し、漫然と個人データを第三者に提供しないようにしなければなりません。
警察は、刑事訴訟法第197条第2項に基づいて、公私の団体に対して、操作に必要な事項の報告を求めることができます。
ただし、この規定により個人データの提供を求める場合には、「捜査関係事項照会書」という文章を発行することになっています。
「捜査関係事項照会書」には、必ず「刑事訴訟法第197条2項によって」という一文が表記されています。
照会を求められた場合には、「捜査関係事項照会書」の交付を求めたうえで、開示に応じるとよいでしょう。
執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。
不動産流通の4団体、「公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会」、「公益社団法人全日本不動産協会」、「一般社団法人不動産流通経営協会」、「一般社団法人全国住宅産業協会」は、それぞれ反社会的勢力排除のための標準モデル条項を作成しています。
モデル条項が導入されて10年以上が経過しており、マネー・ロンダリング対策に比べると、一般消費者にも広く知られていることを感じます。
なお、警察から媒介を行った契約の当事者について照会を受けた場合、宅地建物取引業者としてどのように対応を行えばいいでしょうか。
個人情報保護法上、法令に基づく照会を受けた場合には、個人データを第三者に提供することが可能とされていますが、警察から個人データの提供を求められた場合であっても、それが法令に基づいて行われた照会でないにもかかわらず、個人情報を提供すると個人情報法に違反する可能性があります。
また、結果的には、法令に基づいて行われた照会であったとしても、個人データを取り扱う宅建業者としては、照会を受けた場合、それが法令に基づいて行われたものかどうかを確認し、漫然と個人データを第三者に提供しないようにしなければなりません。
警察は、刑事訴訟法第197条第2項に基づいて、公私の団体に対して、操作に必要な事項の報告を求めることができます。
ただし、この規定により個人データの提供を求める場合には、「捜査関係事項照会書」という文章を発行することになっています。
「捜査関係事項照会書」には、必ず「刑事訴訟法第197条2項によって」という一文が表記されています。
照会を求められた場合には、「捜査関係事項照会書」の交付を求めたうえで、開示に応じるとよいでしょう。
執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。