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【2025年第1四半期】賃貸市場の状況を知る – 賃貸仲介業における景況感調査についての考察

賃貸の市場に関心を持ってみよう

前回ワンルームマンションの不動産投資について投稿しました。
不動産投資は、投資対象として今も根強い人気があります。
今後もその流れは続くと考えています。

ところで、不動産投資にもいろいろな方法があります。
事業を行うために土地等を購入し店舗をつくって収益を上げたり、農作物を育てて売って収益を上げるような不動産活用を目的とした投資も不動産投資です。
不動産業者がリノベーションをしたり、土地の区画整理を行うなど、付加価値をつけて転売して売り買いによる利ざや(キャピタルゲイン)を上げる手法もあります。

最も多い不動産投資は、賃貸による収益(インカムゲイン)を得る方法でしょう。
ワンルームマンション、一棟の賃貸マンション、テナントビルなど、それらは賃貸収入を得ることによって収益を上げます。
賃貸収入がどれだけ得られるかを知るためには、賃貸市場の動向を知らなければなりません。

今回は、賃貸市場の状況を知るための賃貸仲介業における景況感調査について、お話し致します。
※対象エリアは近畿圏、主に京阪神エリアです。

賃貸市場のデータ

最初に断っておきたいことは、賃貸市場のデータを得ることは難しいということです。

宅地建物取引業法に基づき業者登録を受けた不動産業者は、国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」が運営する、不動産物件情報交換のシステム(通称「レインズ」)を利用することができます。
例えば、売却の依頼を受けた不動産業者は、依頼主(売主)と媒介契約を取り交わします。
媒介契約のうち、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約を選んだ場合は、宅地建物取引業法の規定に基づき、一定期間内に売却情報をレインズに登録しなければなりません。
このため、不動産売買情報については、レインズに多くの情報が登録されています。

しかし、賃貸については、宅地建物取引業法による媒介契約の契約書交付の義務がありません。
そのため、賃貸情報をレインズに登録する義務がありません。
また、賃貸物件は売買物件と比べてはるかに数が多く、登録しても情報が埋もれてしまいます。
レインズは操作が不便で、写真等の登録にも制限があり、多くの物件情報から得たい情報を探すには向いていません。
昨今では不動産業者向けに、より便利な賃貸物件の検索プラットフォームが複数あります。
成約情報が非公開のものも多くあります。

そのため、賃貸市場のデータを集めることは、一般の方ではなおさら困難です。
今回の投稿では、アットホームの景況感調査を引用させていただくことにしました。
アットホームは、不動産業者だけではなく、一般の方にも広く利用されています。
アットホームの景況感調査にも同感できます。

参考:地場の不動産仲介業における景況感調査(2024年10~12月期)【アットホーム】

参考:近畿レインズ

【京阪神間】賃貸仲介の特徴

アットホームの景況感調査によると、「拡大する外国人需要が不動産仲介の景況感を下支え」とあります。

これは京阪神間に関わらず、全国的な特徴であり、客層や特徴について不動産店のコメントを見ると、賃貸では外国人に関するものが目立っています。
売買においても、価格高騰により国内実需層にとって購入が厳しくなる一方で、外国人の購入意欲は依然として旺盛とあります。

賃貸・売買いずれもインバウンド需要が業況を支えている状況です。

外国人入居者の増加

アットホームの景況感調査では、外国人実習生と外国人富裕層が増加したといった意見がありました。
多くの不動産業者と同じく、私も同感です。

ただし外国人といっても、属性により違いがあります。
留学生と労働者は安価なワンルームの需要が高く、富裕層はタワーマンションなど高価な物件を求めます。

一般的に、トイレと浴室が別の「セパレート物件」が流通してから、トイレと浴室が一緒の「ユニットバス物件」の需要が落ち込みました。
また、「ユニットバス物件」は建築年数が古いことが多く、空き室が急増しました。

しかし、外国人は日本人に比べて「ユニットバス物件」への抵抗が低い人が多く、賃料が安いことに魅力を感じるようです。
設備を整え、クリーニングを行って清潔にすれば、外国人に「ユニットバス物件」が流通するようになりました。

また、外国人が経営する不動産会社や、外国人の営業スタッフも増えました。
外国人にとって、異国で部屋を借りることは大きなハードルとなっていました。
しかし、外国人が経営する不動産会社が増えて、現地(日本)で対応できるスタッフが揃ったことにより、借り手が安心して取引できるようになりました。

不動産オーナーにも変化が出てきました。
外国人が、収益物件を保有するようになっています。
日本人オーナーよりも外国人オーナーは、外国人を受け入れることが多いです。

これは富裕層も同じです。
外国人富裕層も、自国の人が経営する不動産会社を利用するケースが多いです。
日本のタワーマンションを、外国人が保有し、外国人に貸しているケースも多いのです。

「セパレート物件」に借り手が取られて収入が減り、且つ物件の経年劣化も進む二重苦にあったオーナーにとっては、新たな借主の候補です。
貸すにあたって外国人ならではのリスクがありますが、変化に対応しましょう。
主な懸念点としては、次のようなことが考えられます。
「連帯保証人の有無」
「明渡し後、帰国されると連絡が取れない可能性」
「生活習慣の違い」
「日本の常識が理解されにくい」
「コミュニケーション」

理解をもって歩み寄り迎え入れる気持ちが必要でしょう。

ファミリー物件が不足している

不動産価格の高騰により、購入を見送り賃貸で過ごす人が増えています。
今後は金利上昇の可能性も高まっており、しばらくこの傾向は続くのではないかと考えられます。

賃貸のファミリー物件は、多くの地域で不足している状態です。
もともとワンルームに比べて、ファミリー物件は供給が少なく、特に専有面積60㎡超や3LDKの物件は少ないところが多いです。
では、なぜファミリー物件は少ないのでしょうか。

まず、1室あたりの金額が大きいことが考えられます。
空室になったとき、賃料の下落金額が違います。
1室あたり6万円のワンルームが空室になったときと、1室あたり15万円の部屋が空室になったとき、比較すればわかりやすいでしょう。
また、明渡し後に賃貸募集するためのリフォームの費用も、金額が大きくなります。
部屋が複数あれば修繕箇所が増えますし、キッチンなどの設備類も家族向けの商品を使っていますので修理修繕は高額になります。
そのため、マンション経営には、ワンルームを対象に選ぶ人が多いでしょう。

次に、区分所有物件ではワンルームと比べて購入のハードルが高いからです。
物件価格が高額であるため、購入できる方が限られます。
融資を受けるための条件も高くなります。
ワンルームマンションであればサラリーマンでも購入できる方が多いですが、ファミリー物件を購入できる方は限られます。
また、ファミリー物件を1物件持つのではなく、ワンルーム物件を2~3物件持つ方が手軽で安全でしょう。

最後に、立地が考えられます。
ファミリー物件の入居者は、ワンルーム物件の入居者と比べて駐車場を必要とします。
そのため、ワンルームマンションに比べて広い敷地を必要とします。
また、賃貸のファミリー物件が高額な価格帯になると需要が減るため、空室率への影響が心配されます。
車を必要としない駅徒歩圏の立地であれば駐車場を多く確保する必要はないかもしれませんが、ワンルームマンションでも同じことです。
ただし、郊外に広い敷地を保有する方には、ファミリー物件が良い投資になる可能性があります。

ファミリー物件は、供給が少ないため、比較的稼働率が安定しています。
特に昨今は、不動産価格の高騰により賃貸の利用者が増えています。

ワンルームは供給過多で差別化が必要

昨今の物価高騰により、家賃相場が上昇しているようです。
そのため、単身者の住み替えは減っているようです。
また、供給過剰が解消されないまま、更なるワンルームマンションの竣工が続いています。

しかし、生活保護受給者などの福祉関係の問い合わせが増えているところもあります。
2020年の生活保護法の特例規程や2024年の住宅セーフティネット法の改正で、公的機関による家賃の代理納付が行われる住宅の供給など、生活保護世帯に対する支援が拡充されていることを、理由にあげています。

高齢者に関する問い合わせも多いようです。
ただし、家賃滞納や孤独死のリスク、バリアフリーに適合する物件がないことから、高齢者の受入れ先がなく部屋探しな困難な状況が続いています。

居住サポート住宅とは、居住支援法人等がサポートを行う要配慮者への住宅です。
具体的なサポートは、見守り機器(人感センサー)といったICT等による安否確認や、居住支援法人等のスタッフの訪問等による見守りです。
要配慮者の生活や心身の状況が不安定になったときには、居住支援法人等が福祉サービスにつなぎます。
2025年(令和7年)10月に、住宅セーフティネット法の施行が予定されています。

居住サポート住宅は高齢者も対象にした住宅のため、部屋探しが困難な状況が改善されることが期待されます。
しかし、既存住宅ではバリアフリーに適合する物件は決して安価ではないため、ソフト面の充実を準備しても普及には時間がかかると考えられます。

そして、法人からの問い合わせや検索は、依然として多いようです。
法人社宅は、法人が家賃を支払うため家賃滞納リスクが低いこと、企業の信用力により入居審査が行いやすいことから、優良顧客と捉える不動産店が多いようです。
また、コロナ禍が収束したことで、法人の転勤が活発になったことが原因と考えられます。
「人材確保を目的とした社宅利用に関する法人からの問合せが増加している」という声もあり、これには同感です。

【京阪神間】家賃価格の見通し

アットホームの景況感調査では、居住用と事業用、それぞれの賃貸の家賃価格の見通しについて取り上げられていました。

2025年の見通し(調査時期:2024年の10~12月期)と、その1年前の2024年の見通し(調査時期:2023年の10~12月期)を比較しています。
1年間でどのように変わったか見てみましょう。

居住用物件の家賃は上昇

ファミリー物件では、2025年の家賃の見通しは、前年調査より10.1%増加し、51.5%が上昇と回答しています。
シングル向きでも、前年調査より11.2%増加し、39.6%が上昇と回答しています。

理由として、以下があげられています。
「物価上昇や建築費の高騰により値上げせざるを得ない」
「賃金上昇で所得が上がるため」
「売買価格の高騰による購入控えから賃貸需要の増加している」

特に、ファミリー物件は、売買価格の高騰に引っ張られる形で家賃が上昇していると感じます。
もともとファミリー物件は供給が少ないため、下げなくても成約に繋がっていることが多いでしょう。

一方、ワンルームマンションでも、家賃は上昇傾向にあります。
しかし、供給過剰になっているため、決まらない物件も少なくありません。
その場合は、家賃を下げるケースが出てきます。
ワンルームマンションは競争にさらされており、決まる物件と決まらない物件と、はっきり分かれてくるでしょう。

事業用物件の家賃も上昇傾向

貸店舗では、2025年の家賃の見通しは、前年調査より11%増加し、38.1%が上昇と回答しています。
貸事務所でも、前年調査より10.1%増加し、28.6%が上昇と回答しています。

理由として、以下があげられています。
「物価上昇や建築費の高騰」
「固定資産税やインボイス制度への対応」

飲食・物販すべてにおいて需要が伸びている、という回答もありましたが、貸店舗の需要は高まっていると感じます。
保証金など一時金の費用は抑えられている物件が多いですが、家賃が下がっているという印象はありません。

貸事務所についても、需要が伸びています。
ただし、「テレワークが浸透し、増床や移転の動きが沈静化」といった意見には同意で、広い事務所は成約まで時間がかかっているように感じます。
「広さを縮小する代わりに、より利便性の高い立地へ移転」は多いです。

広い物件は決まりにくい

貸店舗、貸事務所ともに、広い物件は成約までに時間がかかっているように感じます。
特に保証金が高額であったり、スケルトンで初期投資に費用がかかる物件は、なお難しくなっています。

事業用物件にも滞納リスクがあり、また損害があったときは居住用と比べて高額になるケースが多く、リスク対策は理解できます。
また、一定の初期投資を準備できる法人でなければ心配だという心情も理解できます。

一方で、10坪程度の貸事務所、15坪~20坪までの貸店舗は、比較的早期に成約しているように感じます。
初期投資の費用が安価な代わりに、撤退や移転など回転も早い傾向にありますが、空室期間も短くすんでいます。

立地などの条件にもよりますが、比較的小さい貸店舗や貸事務所を効率よく回している物件が収益を上げているように思います。

事業用物件は、ワンルームマンションのように容易に参入できる事業ではありません。
借り手も一般消費者ではなく事業者であり、物件も画一的ではないため、居住用とは違った傾向が出ることがあります。

終わりに

今回は、賃貸市場の状況を知るための賃貸仲介業における景況感調査について、お話し致しました。

居住用物件、事業用物件、それぞれ賃料が上昇傾向にあります。
しかし、その上昇している理由は、「物価上昇や建築費の高騰」など物件の維持管理のための費用が高騰しているため、負担を補うことが目的です。
オーナーの収入が上がっているとは言えず、賃貸市場の実態はスタグフレーションに過ぎません。

一方で、外国人の影響が強くなっています。
不動産投資が最も盛り上がったバブル期は、世界の中で日本の景気が良かったため、日本の不動産投資に外資や外国人の影響はほとんどありませんでした。
しかし今は、日本より好景気で若い世代が多い外国人が増えたため、相対的に外国人の影響力が強くなりました。

賃貸市場は、市況に沿う形で変化しています。
不動産投資の難しいところは、変化に対応することです。
不動産投資は融資期間が長い投資商品であるため、投資期間中に変化が生じたとき対応できなければ苦しくなります。
資産に余裕がない方が手を出す投資とは言いにくいと思います。
逆に資産に余裕がある方にとっては、数ある投資の1つとして検討いただくと良いでしょう。

供給量の少ないファミリー物件や事業用物件は、市況に関わらず需要が供給を上回っています。
参入障壁が高い商品は、強い商品であることを示しています。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。

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