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東淀川区の不動産売却について考えよう

東淀川区で不動産を売るために

前回は、大阪市東淀川区の不動産市況と売却について、お話し致しました。

売土地は、2022年では5,000万円以上の取引は27.27%でしたが、2023年には43.9%にまで上がっています。
一方で、建物付き不動産は、住宅と共同住宅ともに取引価格は減少しました。

中古マンションは、東淀川区ではワンルーム物件などの収益物件が多く取引されていました。
価格は、単身向けマンションもファミリー向けマンションも価格は上がっています。

さて、実際に取引された不動産には、どのような特徴があるでしょうか。
直近の1年間で、東淀川区で取引された事例を参考にして売却について考えてみます。

今回は、東淀川区の不動産売却について、お話し致します。

東淀川区、売土地の売却について

東淀川区の住宅地は、90万円以上の坪単価で取引された割合が大きく増えています。
90万円以上で取引された割合は、2022年の39.53%に対し、2023年は60.53%でした。
商業地も高額で取引されています。

また、比較的広い土地もよく取引されています。
200㎡以上の土地で取引された割合は、2022年の31.82%に対し、2023年は41.46%と増えています。

土地が広くなると取引価格も乗じて高額となるため、ある程度の広さを超えると坪単価が下がる傾向があります。
しかし、前年よりも土地が広い取引が増えているにも関わらず坪単価が上がっており、売却は堅調であるといえるでしょう。

古家付きで売却ができるか

直近1年間に成約登録された土地のうち、淀川区では44.8%の土地が古家付きで売却をされていました。
東淀川区では、75%の土地が古家付きで売却をされていました。

更地にせずとも売却が成立した事例は多くあります。
しかし、昨今インフレの傾向が強く、解体費用も値上がりの傾向にあります。
これまでは、解体は買主負担で売却することができていますが、コストの上昇により重荷になるでしょう。
そのため、今後も更地にせずとも売却できるか、わかりません。

前面道路幅員による容積率の制限

取引された土地をみてみると、道路幅員が4m未満の土地が含まれています。
新築を建築するときには、原則として道路幅員を4m以上にしなければなりません。
そのため、道路幅員が4m未満の場合は、セットバックを行わなければなりません。

セットバックを行う部分は道路として提供しなければならず、宅地として利用できませんので、その面積部分は一般的には価格として評価されません。

また、対象不動産の用途地域によっては、前面道路の幅員によって容積率が制限されるケースがあります。

「容積率」とは、建物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことです。
特に、土地面積に限りがある場合は、目一杯建物を建てたいと考えられるケースがあるでしょう。
このときに、前面道路の幅員によっては制限を受けることがあります。

例えば、用途地域が第二種中高層住居専用地域で、容積率の指定が200%の地域であった場合、前面道路幅員を考慮しなければ建物の延べ面積は敷地面積の200%まで使うことができます。
しかし、前面道路幅員が4mであった場合、容積率低減数値0.4を乗じた160%が上限として制限されます。

対象不動産が狭小地の場合は、購入者によっては建物の面積が足りないといった影響が考えられますので、注意しましょう。

東淀川区、戸建や共同住宅の売却について

東淀川区の戸建取引価格の平均は、2022年の2,841万1,236円に対し、2023年は2,774万1,538円でした。
高額で取引された住宅が減少していることも影響し、平均取引価格が減少しました。

また、共同住宅も、2022年の1億5,813万7,931円に対し、2023年は1億5,273万3,333円でした。

売土地は、住宅地も商業地も価格は上昇傾向にありましたが、戸建や共同住宅は減少傾向にあります。
戸建と共同住宅は目的も評価方法も異なるため、一緒に考えることはできませんが、減少傾向の原因について探っていきます。

土地30坪未満の住宅取引が多い

淀川区では直近1年間に成約登録された戸建住宅67件のうち、土地が100㎡(約30坪)に満たない住宅は59件でした。
実に約88%の戸建が、土地が100㎡(約30坪)未満でした。

東淀川区でも同じ傾向にあります。
直近1年間に成約登録された戸建住宅112件のうち、土地が100㎡(約30坪)に満たない住宅は103件でした。
実に約92%の戸建が、土地が100㎡(約30坪)未満でした。

東淀川区では、3階建ての建物を建てることができない制限がある地域はほとんどありません。
土地が30坪に満たない住宅であっても、3階建ての住宅を視野に入れれば需要はあるでしょう。

土地価格が高騰していることも影響しているかもしれません。
土地面積を抑えることによって土地建物の価格を縮小する傾向にあり、全体として取引価格が下がっていることも考えられます。

新築物件の取引価格が下がっている

東淀川区の戸建住宅は、2022年は89件、2023年は65件、取引されました(共同住宅などは除きます)。
そのうち、新築戸建は、2022年は23件、2023年は19件、取引されました。

新築住宅の取引割合は、2022年は約25.8%、2023年は約29.2%です。
中古戸建に比べて価格が高い新築戸建は、変わらず取引されています(むしろ増えています)。

次に、中古戸建と新築戸建の取引価格を比較してみます。
中古戸建の、2022年の平均取引価格は2,347万8,788円に対し、2023年は2,372万1,739円です。
新築戸建の、2022年の平均取引価格は4,256万5,217円に対し、2023年は3,747万3,684円です。

新築戸建の平均取引価格が約500万円減少しており、これが2022年と2023年の戸建住宅の平均取引価格減少の原因と言えるでしょう。

共同住宅の価格減少は賃貸市場の魅力低下が原因

東淀川区の共同住宅は、2022年は29件、2023年は30件、取引されました。
共同住宅の平均取引価格は、2022年の1億5,813万7,931円に対し、2023年は1億5,273万3,333円でした。

共同住宅の延床面積の平均は、2022年の507㎡に対し、2023年が645㎡でした。
平均取引価格を延床面積で割って、面積による平均取引価格を算出すると、2022年の31万1,909円に対し、2023年は23万6,796円と24.08%減少しています。

共同住宅の立地条件や構造、建築年数、お部屋の間取りなど、価格に影響する要因は延床面積のほかにもあります。
しかし、延床面積あたりの取引価格が約24%も下がっていることは見逃せません。

一方で、後述する単身向けマンションの成約価格は上昇しています。
単身向けマンションは、新大阪駅を最寄りとする地域に集中していますが、共同住宅には特にそのような立地面の傾向はありません。

共同住宅は、収益物件としての評価が影響されます。
東淀川区の地域は全体として、賃貸市場の魅力が低下していると考えられます。

東淀川区、中古マンションの売却について

東淀川区の中古マンション取引価格の平均は、2022年の1,467万7,059円に対し、2023年は1,766万690円でした。

東淀川区は大阪市24区のうち、2023年は24区中5番目に小さい専有面積で、2022年は24区中2番目に小さい専有面積で取引されていました。
東淀川区ではワンルーム物件などの収益物件が多く取引されています。
実際に、単身者向けの売マンション(専有面積40㎡未満)の方が、ファミリー向けの売マンション(専有面積40㎡以上)よりも取引されている数が多いです。

価格は、単身向けマンションもファミリー向けマンションも上がっています。
戸建の取引価格が減少している一方で、マンションの取引価格は上がっています。

単身向けマンションの成約価格

東淀川区で取引された中古マンションのうち、単身者向けの中古マンション(専有面積40㎡未満)は、どれくらいの割合を占めているでしょうか。

専有面積40㎡未満のマンションは、2022年は111件、2023年は82件、取引されました。
専有面積40㎡以上のマンションは、2022年は59件、2023年は63件、取引されました。

専有面積40㎡未満のマンションの取引割合は、2022年は65.3%、2023年は56.5%を占めています。
2023年には減少に転じていますが、それでも半分以上が専有面積40㎡未満の単身者向けの中古マンションが取引されています。

単身者向けの中古マンションの取引価格は上がっています。
2022年の1,197万7,477円に対し、2023年が1,347万6,829円となっており、約150万円上がっています。

1,000万円以下の取引価格の割合も変化しており、2022年の37.8%(111件中42件)に対し、2023年は28.0%(82件中23件)となっています。

淀川区では専有面積40㎡に満たないマンション124件のうち、82件の成約価格が1,000万円を切っていました。
全体の66.13%です。

取引価格が上がって堅調といえますが、手軽に購入できない価格まで上がってしまうと取引数は減少に転じる可能性が考えられます。
実際、2022年の111件から2023年の82件へ、29件取引数が減少しています。
専有面積40㎡以上のマンションが、2022年の59件、2023年の63件と大きく変化がないことと比較すれば、はっきり違いが出ています。

新大阪の単身向けマンションは堅調

淀川区では専有面積40㎡未満の単身向けマンションは、新大阪駅を最寄りとする地域に集中しています。
東淀川区でも同様に、新大阪駅を最寄りとする地域に集中しています。

2022年は、専有面積40㎡未満のマンション取引総数111件に対し、68件が新大阪を最寄りとする地域で取引されました。
その割合は、61.3%です。
2023年は、専有面積40㎡未満のマンション取引総数82件に対し、52件が新大阪を最寄りとする地域で取引されました。
その割合は、63.4%です。

新大阪エリアは堅調とみられます。

ファミリー向けのマンションの市場は堅調

次に、ファミリー向けのマンション(専有面積40㎡以上)をみてみましょう。

取引価格の平均は、2022年の1,966万9,492円に対し、2023年は2,310万6,349円でした。
17.47%、価格が上がっています。

取引された平均専有面積は、2022年の61.53㎡に対し、2023年は67.14㎡でした。
9.12%、広くなっています。

平均取引価格を専有面積で割って、面積による平均取引価格を算出しました。
2022年の31万9,673円に対し、2023年は34万4,152円でした。
7.66%、面積による平均取引価格が上がっています。

取引件数も、2022年の60件に対し、2023年は63件で、大きな変化は見られません。
ファミリー向けのマンション(専有面積40㎡以上)は、価格が上がっているものの、取引件数に大きな変化は見られず、堅調に推移していると考えられます。

終わりに

今回は、東淀川区の不動産売却について、お話し致しました。

東淀川区の住宅地は、90万円以上の坪単価で取引された割合が大きく増えています。
商業地も高額で取引されています。
しかし、昨今インフレの傾向が強く、解体費用も値上がりの傾向にあります。
これまでは、解体は買主負担で売却することができていますが、解体費用の負担が大きくなれば、今後も更地にせずとも売却できるか、わかりません。

一方で、戸建や共同住宅は減少傾向にあります。
特に新築戸建の平均取引価格が約500万円減少しており、戸建住宅の平均取引価格減少の原因となっています。

単身向けマンションもファミリー向けマンションも、価格は上がっています。
単身向けマンションは、新大阪駅を最寄りとする地域に集中しており、市場も堅調です。
ただし、手軽に購入できない価格まで上がってしまうと、取引数は減少に転じる可能性が考えられます。

ファミリー向けのマンションも、価格が上がっています。
それでも取引件数に大きな変化は見られず、堅調に推移していると考えられます。

解体費用や建築費用、リフォーム費用が急に値上がっていることから、今後経費に要する費用が高額となる取引に影響が出ないか注視しておかれるとよいでしょう。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。