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淀川区のマンション売却について考えよう

淀川区で中古マンションを売るために

直近の投稿では、大阪府や大阪市、そして大阪市淀川区という地域に分けて、直近の不動産市況についてまとめました。
2024年1~3月期の近畿圏市場近畿レインズのレポートによると、中古マンション・戸建住宅ともに成約件数、価格はプラス基調で推移したとありますが、詳細をみていくと高額価格帯の不動産が値上がっている一方で、多くの不動産は必ずしもプラス基調とは言えません。
買主も当然慎重であり、買い手が多く競争力がある不動産でなければ、なかなか高額で取引は成立しないものです。

さて、実際に取引された不動産には、どのような特徴があるでしょうか。
直近の1年間で、淀川区で取引された事例を参考にして売却について考えてみましょう。

土地や戸建、マンションなど、不動産の種類によって分けて考えてみます。
前回は、淀川区の土地売却と戸建て売却についてお話ししました。
今回は、淀川区の中古マンション売却について、お話し致します。

単身向けマンションの売買が多い

近畿レインズで調べてみたところ、淀川区で直近1年間に成約登録された中古マンション388件のうち、専有面積が40㎡に満たないマンションは124件でした。
これは、全体の31.96%を占めており、およそ3件に1件が専有面積40㎡に満たないマンションです。

賃料収入を目的とする収益マンションが多く、取引されている物件の多くはオーナーチェンジ物件です。
※オーナーチェンジ物件とは、入居者があり賃貸中の状態で売却されている物件です。

そして、専有面積40㎡に満たないマンション124件のうち、82件の成約価格が1,000万円を切っています。
これは、66.13%を占めており、およそ3件に2件が、成約価格1,000万円未満のマンションです。

1,000万円を切る価格は心理的にも買いやすく、また資金調達も融資に頼らず現金で購入しやすい価格です。
融資の金利の支払は、利回りにも影響します。
現金に余裕があれば、銀行に置いておくより、収益物件を購入して投資効率を高めようと考えるでしょう。

参考:近畿レインズ

現金購入者と融資に頼る購入者との違い

不動産投資を考えるうえで、金融機関からの融資に頼るケースは多いでしょう。
不動産は、融資を活用することによって大きな資産を得ることができるため、レバレッジを活用することができると言われます。
しかし、融資に頼るべきかどうか、考えるべきです。

1,000万円を、金利2.5%、融資期間20年とした場合、毎月の返済金額は52,990円です。
この融資の返済が終われば、家賃の多くが収入になるという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、現金で購入すれば、最初から家賃の多くが収入になります。
この差は大きいでしょう。

これまでにワンルーム投資をした方から売却の相談を受けましたが、対象物件の現在の収支がマイナスになっていることがありました。

ワンルームを購入するときに、金融機関から融資に頼る方は若い方が多いでしょう。
若い方で家族がある方の多くは、生活で様々な出費が重なっており、現金に余裕がある方は多くありません。
出費が重なる時期に、さらに毎月の収支がマイナスとなる不動産投資を行うべきかどうか、慎重になるべきではないでしょうか。

なお、1,000万円を、金利2.5%、融資期間20年とした場合、返済総額は1,271万7,669円です。
金利分が、271万7,669円です。
金融機関から融資に頼る方は、現金で購入する方と比べて、取得費用で約271万円の差がついていることを考えてみてください。

新大阪の単身向け賃貸需要は堅調

専有面積40㎡に満たない単身向けマンションは、新大阪駅を最寄りとする地域に集中しています。
新大阪エリアの賃貸需要は堅調とみられます。

コロナ禍の時期には新幹線の利用者が減り、新大阪駅の構内の人は激減しましたが、今はまた戻りつつあります。
新大阪駅の乗車人員数は、2022年度では61,154人(2019年度は69,089人)で、JR西日本の駅の中では8番目に多い数です。
また、新幹線乗車人数は、2022年度は66,500人(2019年度は79,500人)です。

駅の利用者の構成は、男性52%、女性48%とほぼ均一です。
年代別では、20代から40代までの男性と女性が、合わせて74.0%を占めています。
職業別では、勤め人の男性と女性が、合わせて66.0%を占めています。

なお、JR西日本の駅の中では11番目に多い高槻駅では、駅の利用者の構成は、男性68.4%、女性31.6%です。
年代別では、20代から40代までの男性と女性が、合わせて36.9%です。
職業別では、勤め人の男性と女性が、合わせて42.1%です。

つまり、新大阪駅は、単身用マンションを利用すると考えられる「20代から40代までの男性と女性」、「勤め人」が極めて多いことがわかります。

単身向けマンションの売買は今後も堅調か

新大阪は新幹線の駅があるため、ホテルも多く、移動の多いビジネスマンにとっては便利な立地にあります。
新大阪駅近隣は、今後も単身向け賃貸需要は堅調であろうと予想されます。

また、古くから利用者が多い場所であるため、1970年代に建築されたマンションも数多く存在します。
そのため、価格が1,000万円までの物件も多く存在します。

購入者にとっては、現金で購入し、投資効率を高めることができます。
また、賃借人にとっても新大阪駅に近く、移動が多いビジネスマンには便利な立地です。

こういった条件が揃っている限り、単身向けマンションの売買は今後も堅調でしょう。

ファミリー向けのマンションに大きな変化はみられない

以前ブログの投稿で、淀川区ではファミリー向けの中古マンションに大きな変化はみられないとしました。

ファミリー向けの中古マンション(専有面積40㎡以上)の取引価格の平均は、2023年は2,439万1,477円、2022年は2,363万2,653円と、3.21%上昇しています。

取引された平均専有面積は、2023年は61.82㎡、2022年は61.76㎡と、ほぼ変わりません。
なお、平均取引価格を専有面積で割って、面積による平均取引価格を算出すると、2023年は39万4,556円、2022年は38万2,653円で、3.11%上昇しています。

大阪市全域での2023年の平均取引価格は、2,558万9,637円で、対2022年比で+118,717円で0.47%上昇しました。
大阪市全域の上昇率と比べると大きいですが、その差は2.74%と大きな差があるわけではありません。

参考:大阪市淀川区の不動産市況について【BLOG】

需要がある地区は価格も上昇傾向が続く

不動産情報ライブラリから、淀川区で地区ごとに、2023年度の平均取引価格を調べてみました。

【加島】
取引件数:10(前年比+6)
平均取引価格:2,190万円(前年比-160万円)

【宮原】
取引件数:26件(前年比-22)
平均取引価格:2,676万9,231円(前年比+1,181万898円)


【三国本町】
取引件数:15件(前年比-2)
平均取引価格:2,122万6,667円(前年比+203万2,549円)

【三津屋】
取引件数:5件(前年比-3)
平均取引価格:3,360万円(前年比-227万5,000円)

【十三元今里】
取引件数:1件(前年比0)
平均取引価格:1,700万円(前年比-1,700万円)

【十三東】
取引件数:3件(前年比-13)
平均取引価格:3,233万3,333円(前年比+1,527万7,083円)

【十三本町】
取引件数:4件(前年比-9)
平均取引価格:1,822万5,000円(前年比+4万385円)

【十八条】
取引件数:7件(前年比-9)
平均取引価格:3,614万2,857円(前年比+1,145万8,333円)

【新高】
取引件数:9件(前年比-24)
平均取引価格:2,755万5,556円(前年比+361万8,056円)

【新北野】
取引件数:8件(前年比-17)
平均取引価格:1,232万5,000円(前年比-23万5,000円)

【西宮原】
取引件数:29件(前年比-34)
平均取引価格:2,392万690円(前年比+500万55円)


【西三国】
取引件数:4件(前年比-6)
平均取引価格:2,800万円(前年比+934万円)

【西中島】
取引件数:7件(前年比-41)
平均取引価格:2,114万2,857円(前年比+739万4,940円)

【塚本】
取引件数:4件(前年比-20)
平均取引価格:2,625万円(前年比+1,150万円)

【田川】
取引件数:2件(前年比+1)
平均取引価格:3,000万円(前年比+1,000万円)

【東三国】
取引件数:18件(前年比-41)
平均取引価格:2,666万6,667円(前年比+830万9,040円)


【木川】
取引件数:16件(前年比-19)
平均取引価格:2,070万6,250円(前年比+251万1,964円)

【野中南】
取引件数:3件(前年比+2)
平均取引価格:1,800万円(前年比-700万円)

【野中北】
取引件数:5件(前年比+1)
平均取引価格:2,420万円(前年比+245万円)

取引件数が多い宮原、西宮原、東三国は、平均取引価格も大きく上昇しています。
取引件数そのものは総じて減少傾向にありますが、原因は供給が少ないことにあります。
売れないから取引件数が少ない、というわけではありません。

需要が高い地域は、取引価格も上昇しています。

終わりに

今回は、淀川区の中古マンションの売却について、お話し致しました。

淀川区では、単身向けマンションの取引が多く、全体の31.96%を占めています。
およそ3件に1件が、専有面積40㎡に満たない単身向けマンションの取引です。

そして、専有面積40㎡に満たない単身向けマンション取引のうち、66.13%が成約価格が1,000万円を切っています。
1,000万円を切る価格は買いやすく、また資金調達も融資に頼らず現金で購入しやすい価格帯です。
購入者にとっては、現金で購入することによって、融資による購入と比べて投資効率を高めることができます。

また、新大阪駅は、単身用マンションを利用すると考えられる「20代から40代までの男性と女性」、「勤め人」が極めて多い立地にあります。
賃借人にとっても、移動が多いビジネスマンには便利な立地です。
こういった条件が揃っている限り、単身向け収益マンションの売買は今後も堅調でしょう。

ファミリー向けの中古マンション(専有面積40㎡以上)の取引価格の平均も、2023年は2,439万1,477円、2022年は2,363万2,653円と、3.21%上昇しています。
特に、取引件数が多い宮原、西宮原、東三国は、平均取引価格も大きく上昇しています。
需要が高い地域は、取引価格も上昇しています。
現時点では供給数が足りない状態にあり、価格は上昇すると考えられます。

しかし、1970年代に建築されたマンションも多く存在し、今後マンションの維持管理に関する問題が表面化する懸念があります。
マンションの所有者や居住者が高齢化しているマンションでは、維持管理に関する投資に消極的になる可能性があるため、中長期的にはマンション選びは慎重に行うことが望ましいでしょう。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。

参考:淀川区の土地売却について考えよう【BLOG】

参考:淀川区の戸建て売却について考えよう【BLOG】