西中島南方駅より徒歩7分の不動産会社

BLOG ブログ

淀川区の土地売却について考えよう

淀川区で土地を売るために

直近の投稿では、大阪府や大阪市、そして大阪市淀川区という地域に分けて、直近の不動産市況についてまとめました。
2024年1~3月期の近畿圏市場近畿レインズのレポートによると、中古マンション・戸建住宅ともに成約件数、価格はプラス基調で推移したとありますが、詳細をみていくと高額価格帯の不動産が値上がっている一方で、多くの不動産は必ずしもプラス基調とは言えません。
買主も当然慎重であり、買い手が多く競争力がある不動産でなければ、なかなか高額で取引は成立しないものです。

さて、実際に取引された不動産には、どのような特徴があるでしょうか。
直近の1年間で、淀川区で取引された事例を参考にして売却について考えてみましょう。

土地や戸建、マンションなど、不動産の種類によって分けて考えてみます。
今回は、淀川区の土地売却について、お話し致します。

古家付きで売却できるか(更地にしなくてもよいか)

長い年数を自宅として利用していた不動産を売却するとき、老朽化した建物があると売れにくいのではないかと、心配になるかもしれません。
しかし、建物を解体するためには、高額な費用がかかります。
それでも売主は、古家を解体して、更地にした方が良いでしょうか。

近畿レインズで調べてみたところ、淀川区で直近1年間に成約登録された土地のうち、44.8%の土地が古家付きでした。
つまり、更地にせずとも売却が成立した事例は多くあります。

しかし、どのような場合でも更地にせずに売却が成立するとは限りません。
どのようにすれば古家付きで売却できるか、考えてみましょう。

参考:近畿レインズ

更地にするメリット

対象不動産が空き家の場合には、解体して更地にすれば、用心の心配や台風や大雨などの災害の心配から解放されます。
また、更地は土地の全容が一目でわかりやすく、見た目もスッキリして、売りやすくなるケースが多いでしょう。

売土地として売却するわけですから、原則として古家は必要ありません。
買い手は土地が欲しいわけであって、古家が欲しいわけではありません。

買主にとって、解体費用は余分な経費です。
また、解体作業は近隣の方にも負担をかけます。
購入取得後、買主は近隣の方に「これからよろしくお願いします」とご挨拶して間もなく負担をかけることになります。
解体作業がトラブルなく行われるかどうか、近隣の方と関係がある売主にとっても無関係とは限りません。

被相続人の居住の用に供されていた空き家等を売却した場合の特別控除

他にも、相続または遺贈により取得した居住用家屋の場合には、建物を解体し更地にすることによって譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができるケースがあります。

特例の対象となる被相続人居住用家屋とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるものをいいます。

1. 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
2. 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
3. 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。


特例の適用を受けるためには要件がありますが、そのうちの1つが相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること、つまり建物を解体して更地にして売却しなければなりません。

建物を解体するための費用が必要ですが、売買価格に解体費用相当分を減額する必要はなくなるでしょう。
売却によって譲渡所得税などが一定の金額を超えると想定される場合には、この特別控除を利用することを検討されると良いでしょう。

更地にすると固定資産税が変わる

更地にすることによるデメリットもあります。
1つは、固定資産税の金額が変わることです。

住宅の敷地である住宅用地の税負担は、軽減することとされております。
住宅1戸当たり200㎡以下の住宅用地(200㎡を超える場合は200㎡までの部分)については、固定資産税の課税標準額は、価格の6分の1の額となります(都市計画税は3分の1の額)。

売却が成立するために時間がかかるような場合には、更地にすることによって課税標準額の特例に該当しなくなり、固定資産税の軽減がなくなるケースがあります。

ただし、この住宅用地の課税標準の特例措置は空き地を活用することを促すための施策ですが、古家が放置されている一因になっています。
そこで、大阪市長が特定空家等または管理不全空家等として、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく勧告が行われた場合は、これにかかる敷地について住宅用地の課税標準の特例の対象から除外されます。
注意しましょう。

古家付きでも売却できるが、売買価格は考慮が必要

古家を解体し更地にすることによって、総じて土地は売りやすくなるでしょう。
しかし、古家付きで成約している事例も多くあります。

買主が新築を建てるための用地として購入するのであれば、売主もしくは買主のどちらかが古家を解体しなければなりません。
解体を買主に委ねるのであれば、解体費用相当額を売買価格から減額しなければ取引の成立は難しいでしょう。

なお、解体の費用は、対象不動産の現場状況によって異なります。
建物構造や延床面積だけで算出することはできません。
例えば、隣家との距離が狭い、解体したガラの状況や運搬作業、作業がしやすいかどうか、前面道路との高低差や交通状況などによって大きく変わります。

そのため、解体するためにはどの程度費用が必要か、事前に売主も把握しておくことが望ましいでしょう。

上下水道とガス等の引込状況

淀川区で取引された多くの土地が、もともと住宅が建っていた宅地です。

しかし中には、駐車場として使われていた土地があります。
駐車場として使っていた場合は、上下水道やガスを必要としないため、土地の敷地内に上下水道やガスの引込がされていないことがあります。

また、オール電化として利用されていた住宅用地では、ガスの引込がされていないことがあります。

引込されている上水道の口径が13mmというケースもあります。
現在の新築住宅では、口径が13mmでは足りないことが多く、この場合も新たに引込が必要です。

住宅用地として利用するために、敷地内に引込を行わなければならないケースがあります。
売主が引込工事を行わなければならないわけではありませんが、工事費用相当額が買主の負担になることを考えなければなりません。

前面道路幅員による容積率の制限

取引された土地をみていると、道路幅員が4m未満の土地が含まれています。

新築を建築するときには、原則として道路幅員を4m以上にしなければなりませんので、セットバックを行う必要があります。
(セットバックを行う面積は対象不動産の状況や市町村によって異なります)
セットバックを行う部分は道路として提供しなければならず、宅地として利用できませんので、その面積部分は一般的には価格として評価されません。

もう1つ注意しなければならないことは、対象不動産の用途地域によっては、前面道路の幅員によって容積率が制限されるケースがあることです。

「容積率」とは、建物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことです。
特に、土地面積に限りがある場合は、目一杯建物を建てたいと考えられるケースがあるでしょう。
このときに、前面道路の幅員によっては制限を受けることがあります。

例えば、用途地域が第一種住居地域で、容積率の指定が300%の地域であった場合、前面道路幅員を考慮しなければ建物の延べ面積は敷地面積の300%まで使うことができます。
しかし、前面道路幅員が4mであった場合、容積率低減数値0.6を乗じた240%が上限として制限されます。

なお、第1種中高層住居専用地域などは容積率低減数値0.4まで制限されます。
住宅用途であれば、容積率が240%でも十分な面積を得られるケースが多いでしょうが、対象不動産が集合住宅を建築することが考えられるような場合は影響が考えられますので注意しましょう。

参考:前面道路幅員による容積率制限及び大阪市建築基準法施行条例にもとづく防火規制【大阪市】

建物の建ぺい率や容積率の制限について【大阪市】

終わりに

今回は、淀川区の土地売却について、お話し致しました。

大阪市は平坦地が多く高低差が少ない土地が多いですが、前面道路が狭い土地が多く、また私道も多いところです。
地域によって特徴がありますので、売却を行う際にはまず対象不動産の地域の特徴を知ることが大切でしょう。

地域の制限事項を知ることは、うまく売却を成立させるための第一歩です。

地域の制限等がわかると、今までの風景が違って見えることがあるかもしれません。
なぜあのビルやマンションは上階のほうが斜めになっているのか、なぜ同じ道路沿いでセットバックされている家とセットバックされていない家があるのか、それぞれに理由があるものです。

次回は、戸建住宅等の売却について、考えてみましょう。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。