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【2024年4月】大阪府の不動産市況について

大阪府の不動産市況の実態は

昨今WEBの様々なサイトで、不動産売却や不動産相続、マンション投資などの広告を見かけることが増えました。

相続は、現在に留まらずこれからますます増えることが予想され、資産として不動産を所有されていることも多いことから、しばらく話題の中心であり続けるでしょう。

また、国や企業が運用する年金制度から確定拠出年金のように各個人が運用する制度へ移行している流れから、投資に関する話題が増えており、それに伴いマンションなどの不動産投資も目にするようになりました。

これらの広告を見ていると不動産市場は活発であるようですが、実態はどのような状態でしょうか。

今後数回にわたって、大阪府というマクロの視点から、大阪市淀川区の西中島や三国等のミクロの視点からみた不動産市況について、取り上げます。
今回は、大阪府の不動産市況について、お話し致します。

不動産市況を知るためのサイト「レインズ」と「不動産情報ライブラリ」

全国の不動産業者が加入し、不動産物件情報交換のためのコンピュータ・ネットワーク・システムレインズ、通称レインズがあります。
一般の方は使用することができませんが、レインズ会員の不動産会社に広く使われております。

また、不動産価格を調べるときには、地価公示や路線価を調べることが多いでしょう。
このうち、地価公示等の価格情報を扱うサイトが「不動産情報ライブラリ」として刷新されました。
後述しますが、従前のサイトと比較して、とても使いやすくなっています。

近畿レインズ

レインズは、宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣の指定を受けた指定流通機構である全国で4つの公益社団法人や公益財団法人によって運営されています。
ここには全国の不動産業者が加入し、ネットワークで結ばれています。
そのうち近畿2府4県の不動産会社が加盟するのが、公益社団法人近畿圏不動産流通機構、通称近畿レインズと呼ばれています。

多くの不動産がレインズを通して取引されていることから、普遍的で信頼性が高いデータが得られます。

不動産情報ライブラリ

地価公示等の価格情報を扱うサイトが「不動産情報ライブラリ」として刷新されました。

不動産情報ライブラリとは、国土交通省が円滑な不動産取引を促進する観点から、オープンデータ等を活用し、不動産取引の際に参考となる情報(価格、周辺施設、防災、都市計画など)を重ね合わせて表示させるWebGISシステムです。
2024年4月1日より開始されました。

価格情報だけではなく、地形情報や防災情報、都市計画情報など、多くの情報を重ねて確認することができるようになりました。
地図上に表示され、調べやすくなっています。

大阪府の中古マンション市場

2024年4月18日に更新された、2024年1~3月期の近畿圏市場近畿レインズのレポートによると、近畿圏全体の中古マンション市場のトレンドを以下のように報告しています。

■ 成約件数は 4,399件(前年同期比+3.9%)と2期連続で増加し、新規登録件数は17,751件(前年同期比+14.2%)となった。成約件数は対象12地域中7地域が増加した。
■ 成約価格は2,990万円(前年同期比+8.5%)と15期連続で上昇し、新規登録価格は2,784万円(前年同期比+0.4%)となった。成約価格は12地域中8地域が前年比で上昇した。


2024年1~3月期における近畿2府4県の中古マンション(専有面積350㎡未満)成約報告件数は4,399件と前年比で3.9%増加し、2023年10~12月期に続いて前年同期を上回った。
新規登録(売り出し)件数は17,751件で前年比+14.2%の2ケタ増となり、5期連続で前年同期を上回った。
前期比も+10.8%となった。
2024年1~3月期の平均成約価格は2,990万円と前年比で8.5%上昇し、2020年7~9月期から15期連続で前年同期を上回った。
前期比は-0.5%となった。
新規登録価格は2,784万円で前年比+0.4%と、ほぼ横ばいながら5期連続で前年同期を上回った。
前期比は-0.6%となった。

2024年1~3月期の中古マンション成約件数は対象12地域中7地域が前年比で増加し、増加エリアは前期比で1地域増えた。
大阪市と滋賀県、奈良県は2ケタ増となる一方、大阪府東部は9期ぶり、大阪府北部は6期ぶりに前年同期を上回り、増加するエリアが目立った。
近畿圏全体に占める各エリアの取引シェアは、大阪市(28.3%)、大阪府北部(12.3%)、神戸市(11.8%)、阪神間(10.7%)、京都市(9.1%)、大阪府南部(7.4%)、大阪府東部(6.4%)、奈良県(4.5%)、兵庫県他(3.8%)、滋賀県(3.5%)、京都府他(1.6%)、和歌山県(0.5%)の順となり、前期比では神戸市や大阪府北部・東部のシェア拡大が目立った。

成約価格は12地域中8地域が前年比で上昇し、上昇エリアは前期比で2地域減った。
大阪市と神戸市は2ケタ上昇となった。
最も価格水準が高い大阪市は2015年10~12月期から34期連続で前年同期を上回り、引き続き高額な中古マンション取引が目立った。

エリア別の2024年1~3月期の平均価格は、大阪市(3,909万円)、大阪府北部(3,238万円)、京都市(3,127万円)、神戸市(3,058 万円)、が近畿圏平均(2,990万円)を上回り、以下、阪神間(2,836万円)、滋賀県(2,525万円)、京都府他(2,104万円)、大阪府東部(1,986万円)、奈良県(1,874万円)、大阪府南部(1,854万円)、兵庫県他(1,491万円)、和歌山県(1,196万円)の順であった。

件数に価格を乗じた2024年1~3月期の成約報告ベースの近畿圏の取扱高は前年比で12.7%拡大し、3期連続で前年同期を上回った。
12地域中7地域が拡大し、拡大エリアは前期と同数であった。
大阪市と大阪府北部、神戸市、滋賀県、奈良県は2ケタ拡大となる一方、和歌山県は4期連続で前年同期を下回った。

参考:市況トレンド 2024年1~3月期の近畿圏市場【近畿レインズ】

高額な中古マンション取引が目立つ大阪市

大阪市の成約価格は、2015年10~12月期から34期連続で前年同期を上回り、高額な中古マンション取引が目立ちます。
大阪市は、2024年1~3月期と前年2023年1月~3月期を比較すると、13.1%も上昇しています。

近畿圏全体でも平均価格は上昇していますが、大阪府下で大阪市と他地域との差が広がっています。
2024年1~3月期の平均価格は、近畿圏平均(2,990万円)に対し、大阪市(3,909万円)、大阪府北部(3,238万円)、大阪府東部(1,986万円)、大阪府南部(1,854万円)となっています。

都心部における中古マンションの需要が高まっていることがわかります。

成約していない中古マンションも増えている

新規登録(売り出し)件数は、2024年1~3月期と前年2023年1月~3月期を比較すると、10.8%増加しています。
一方の成約件数は、2024年1~3月期と前年2023年1月~3月期を比較すると、3.9%増加しています。

新規登録(売り出し)件数と成約件数、どちらも増えていますが、その増加率には差があります。
供給数の増加率に対し、成約数の増加率の方が低いため、成約していない中古マンションも増加していることがわかります。

格差が広がっている

年々、新築マンションが建築され、マンションの供給数は増える一方で、中古マンションが取り壊しなどによってなくなるという事例はほとんどありません。
そのため、新築、中古に関わらず、マンションの数は増え続けています。

今後も新規登録(売り出し)件数は増加していくと考えられ、成約数の増加率は新規登録(売り出し)件数の増加率よりも低い水準になることが予想されます。

また、大阪市など都心部における中古マンションの需要が高まっています。
都心部は、今後も成約数は増えていくでしょうが、新規登録(売り出し)件数も増えていくことが予想されるため、売れる中古マンションと売れない中古マンションに、分かれてくると考えられます。

2024年1~3月期の大阪市の平均価格は3,909万円ですが、大阪府東部(1,986万円)や大阪府南部(1,854万円)とは、価格差が広がっています。
地域性も含めて、売れる中古マンションと売れない中古マンションとの格差が広がっていくことになるでしょう。

大阪府の中古戸建市場

2024年4月18日に更新された、2024年1~3月期の近畿圏市場近畿レインズのレポートによると、近畿圏全体の中古戸建市場のトレンドを以下のように報告しています。

■ 成約件数は3,003件(前年同期比+21.1%)と5期連続で増加し、新規登録件数は12,317件(前年同期比+24.5%)となった。成約件数は12地域の全地域で増加した。
■ 成約価格は2,400万円(前年同期比+0.6%)と14期連続で上昇し、新規登録価格は2,713万円(前年同期比-0.8%)となった。成約価格は12地域中5地域が前年比で上昇した。


中古戸建住宅(土地面積50~350㎡未満)の2024年1~3月期の成約件数は3,003件で前年比+21.1%の大幅増となり、5期連続で前年同期を上回った。
新規登録(売り出し)件数は12,317件で前年比+24.5%の大幅増となり、5期連続で前年同期を上回った。
2024年1~3月期の平均成約価格は2,400万円で前年比+0.6%と、ほぼ横ばいながら2020年10~12月期から14期連続で前年同期を上回った。
前期比も3.1%上昇した。
新規登録価格は2,713 万円で前年比-0.8%と、ほぼ横ばいとなった。
前期比も-0.4%となった。
成約件数は大幅に増加したが平均成約価格は横ばいとなり、上値を追う動きには歯止めがかかった。

2024年1~3月期の中古戸建住宅の成約件数は12地域中すべての地域が前年比で増加し、増加エリアは前期比で4地域増えた。
増加エリアのうち奈良県以外は2ケタ増となり、和歌山県は7期連続、大阪府南部と兵庫県他は5期連続で前年同期を上回った。
近畿圏全体に占める各エリアの取引シェアは、大阪府南部(13.2%)、大阪府東部(11.1%)、兵庫県他(9.6%)、阪神間(9.1%)、京都市(8.2%)、滋賀県(7.9%)、神戸市(7.8%)、大阪府北部(7.7%)、大阪市(7.6%)、奈良県(7.3%)、京都府他(7.2%)、和歌山県(3.4%)の順で、前期比では大阪府東部や兵庫県他などのシェア拡大が目立っ
た。

成約価格は12地域中5地域が前年比で上昇し、上昇エリアは前期比で2地域減った。
大阪市と大阪府東部は6期連続、京都市は5期連続で前年同期を上回る一方、神戸市や阪神間、滋賀県などは下落し、取引が大きく伸びる中で価格の動向には差がみられた。
2024年1~3月期の成約価格は、大阪府北部(3,681 万円)が最も高く、次いで京都市(3,553 万円)、大阪市(3,366 万円)、阪神間(3,160万円)、神戸市(2,590 万円)が近畿圏平均(2,400 万円)を上回り、以下、大阪府東部(2,128 万円)、京都府他(1,996 万円)、滋賀県(1,974万円)、大阪府南部(1,869 万円)、奈良県(1,665 万円)、兵庫県他(1,526万円)、和歌山県(942 万円)の順となった。

2024年1~3月期の近畿圏の中古戸建の取扱高は前年比で+21.8%の大幅拡大となり、8期連続で前年同期を上回った。
12地域中11地域が拡大し、拡大エリアは前期比で3地域増えた。
大阪市と和歌山県は7期連続、大阪府南部と京都市、兵庫県他は5期連続で前年同期を上回り、多くのエリアで中古戸建市場は拡大し続けている。

参考:市況トレンド 2024年1~3月期の近畿圏市場【近畿レインズ】

中古戸建の売り出し件数が大幅に増加

中古戸建住宅の2024年1~3月期の成約件数は3,003件で、前年比+21.1%の大幅増となっています。
また、新規登録(売り出し)件数は12,317件で、こちらも前年比+24.5%の大幅増となっています。

成約件数と新規登録(売り出し)件数は、いずれも5期連続で増加しています。
特に今期は前年比20%超えという上昇率です。

成約件数も増加しているため、中古戸建市場は活発であるとみることができるかもしれません。
しかし、成約価格は、ほぼ横ばいの数字で推移しています。
需要と供給が増えているにも関わらず、成約価格が横ばいということは、需要と供給のバランスが崩れると、成約価格に影響が出る可能性が高い状態であると考えられます。

近畿圏全体の中古住宅の成約件数の増加率は、和歌山県(+37.3%)、兵庫県他(+30.2%)、滋賀県(+28.8%)、大阪府東部(+27.6%)、京都府他(26.3%)、京都市(24.1%)で近畿圏平均(+21.1%)を上回っており、大阪市(20.7%)、神戸市(20.1%)、阪神間(15.7%)、大阪府南部(15.5%)、大阪市北部(14.4%)、奈良県(5.8%)となっています。
比較的、都市圏以外の地域が大きく増加していることがわかります。

相続などによって、高齢者世帯が所有している中古戸建は、今後も増えていくでしょう。
一方で少子化による影響で、いずれは成約件数が減っていくでしょう。
このままでは、都市圏以外の地域から成約価格が減少に転じ、売れない中古戸建が増えていく、つまり空き家が増えていくだろうということが、この結果からも予想されます。

成約価格には地域差がみられる

平均成約価格は2,400万円で前年比+0.6%とほぼ横ばいで、12地域中5地域が前年比で上昇し、上昇エリアは前期比で2地域減りました。
大阪市と大阪府東部は6期連続、京都市は5期連続で前年同期を上回る一方、神戸市や阪神間、滋賀県などは下落し、取引が大きく伸びる中で価格の動向には差がみられた。

レポートにあるとおり、価格の動向には地域差がみられました。
近畿圏全体の中古住宅の成約価格の変動率は、京都市(+12.9%)、大阪市(+8.6%)、兵庫県他(+5.8%)、大阪府東部(+3.4%)、大阪府北部(+3.0%)で近畿圏平均(+0.6%)を上回っており、阪神間(-0.9%)、大阪府南部(-2.0%)、神戸市(-3.7%)、京都府他(-4.1%)、奈良県(-6.8%)、滋賀県(-8.0%)、和歌山県(-13.9%)となっています。

和歌山県は、成約件数が+37.3%に対し、成約価格は-13.9%。
滋賀県も、成約件数が+28.8%に対し、成約価格は-8.0%。
この2地域は、成約件数は大きく増加しているものの、成約価格はかなり減少していることがわかります。


都市圏以外では成約価格は既に減少に転じており、地域による格差が出てきていると言っていいでしょう。
成約している限りはまだよいですが、いずれは価格を下げても成約しない中古戸建が増加する危険があります。

格差が広がっている

大阪府についても、どの地域も成約件数は増加していますが、成約価格には地域差が生じ始めています。

大阪府の中古住宅の成約価格は、大阪府北部(3,681 万円)、大阪市(3,366 万円)、大阪府東部(2,128 万円)、大阪府南部(1,869 万円)となっています。
そして、中古住宅の成約価格の変動率は、大阪市(+8.6%)、大阪府東部(+3.4%)、大阪府北部(+3.0%)、大阪府南部(-2.0%)となっています。

特に、大阪府南部は価格が減少に転じています。
いずれは価格を下げても成約しない中古戸建が増加する危険があります。

大阪府の土地市場

2024年4月18日に更新された、2024年1~3月期の近畿圏市場近畿レインズのレポートによると、近畿圏全体の土地市場のトレンドを以下のように報告しています。

■ 成約件数は1,752 件(前年同期比+11.8%)で、新規登録件数は9,276件(前年同期比+13.0%)となった。成約件数は12地域中10地域が増加した。
■ 成約価格は2,387万円(前年同期比+6.8%)と2期連続で上昇し、新規登録価格は2,509万円(前年同期比+3.4%)となった。成約価格は12地域中7地域が前年比で上昇した。


土地(50~350㎡未満)の2024年1~3月期の成約件数は1,752件で前年比+11.8%の2ケタ増となり、2023年10~12月期に続いて前年同期を上回った。
新規登録(売り出し)件数は9,276件で前年比+13.0%の2ケタ増となり、5期連続で前年同期を上回った。
中古マンションや戸建市場と同様に土地取引は増加が続いた。

2024年1~3月期の平均成約価格は2,387万円と前年比で6.8%上昇し、2023年10~12月期に続いて前年同期を上回った。
前期比は-0.2%となった。
新規登録価格は2,509万円と前年比で3.4%上昇し、5期連続で前年同期を上回った。
前期比は1.2%下落した。
成約価格が上昇する中で、新規登録価格も上昇が続いており、土地市場は堅調に推移した。

2024年1~3月期の土地の成約件数は12地域中10地域が前年比で増加し、増加エリアは前期と同数であった。
大阪市は7期連続、京都市と滋賀県、兵庫県他は5期連続で前年同期を上回り、大阪市と大阪府北部、阪神間、兵庫県他、京都市は2ケタ増となるなど、依然として土地取引は堅調なエリアが多くみられた。

近畿圏全体に占める各エリアの取引シェアは、大阪府南部(12.4%)、兵庫県他(11.4%)、京都市(10.8%)、大阪府北部(9.0%)、大阪府東部(9.0%)、滋賀県(8.8%)、阪神間(8.8%)、奈良県(8.7%)、京都府他(7.2%)、大阪市(6.6%)、神戸市(5.0%)、和歌山県(2.1%)の順で、前期比では京都市や兵庫県他などのシェア拡大が目立った。

成約価格は12地域中7地域が前年比で上昇し、上昇エリアは前期比で2地域減った。
大阪府南部は9期連続で前年同期を上回り、大阪市と神戸市、京都府他、滋賀県は2ケタ上昇となった。
特に大阪市は件数・価格とも大幅なプラスとなり、相対的に高額な物件取引が目立った。

2024年1~3月期の成約価格は、大阪市(4,520 万円)が最も高く、次いで大阪府北部(3,481 万円)、京都市(3,255 万円)、神戸市(2,810万円)、阪神間(2,664 万円)が近畿圏平均(2,387 万円)を上回り、以下、大阪府東部(2,245 万円)、京都府他(2,064 万円)、大阪府南部(1,931 万円)、滋賀県(1,690 万円)、奈良県(1,608 万円)、兵庫県他(1,269 万円)、和歌山県(1,006 万円)の順であった。

2024年1~3月期の近畿圏の取扱高は前年比+19.4%の2ケタ拡大となった。
12地域中11地域が拡大し、拡大エリアは前期と同数であった。
大阪市は8期連続、兵庫県他と滋賀県は5期連続で前年同期を上回り、大阪市のほか大阪府北部、神戸市や京都市など京阪神を中心に2ケタ拡大となり、多くのエリアで土地市場の拡大がみられた。

参考:市況トレンド 2024年1~3月期の近畿圏市場【近畿レインズ】

近畿三大都市圏で異なる傾向

土地取引も、中古マンションや戸建市場と同様に増加が続いています。
成約件数は1,752件で前年比+11.8%の2ケタ増となり、新規登録(売り出し)件数も9,276件で前年比+13.0%の2ケタ増となっています。

また、平均成約価格は2,387万円と前年比で6.8%上昇し、新規登録価格も2,509万円と前年比で3.4%上昇しています。
近畿圏全体としては、成約価格が上昇する中で、新規登録価格も上昇が続いており、堅調に推移したとレポートにもあります。

一方で、大阪市、神戸市、京都市の近畿三大都市圏では、異なる傾向が出ています。

大阪市の、成約件数の増加率は+38.1%で、成約価格の変動率は+25.2%です。
神戸市の、成約件数の増加率は-2.2%で、成約価格の変動率は+20.2%です。
京都市の、成約件数の増加率は+31.9%で、成約価格の変動率は-6.4%です。

大阪市は、成約件数も成約価格も、2ケタ以上上昇しています。
神戸市は、成約件数は減少しましたが、成約価格は2ケタ以上上昇しています。
京都市は、成約件数は2ケタ以上上昇しましたが、成約価格は減少しています。


近畿圏全体に占める各エリアの取引シェアは、大阪市(6.6%)、神戸市(5.0%)、京都市(10.8%)となっています。
神戸市は、売出物件が少ないために成約価格が上昇している、もしくは買い手の希望に合わない物件は売れなくなっていると考えられます。
一方で、京都市は売り出し物件が増えているために価格が減少している、もしくは価格が減少しているために取引数が増えていると考えられます。

京都市と神戸市は、地域によって価格差が大きく、見方を変えれば地域差が生じている結果だと考えることができます。
大阪市は、成約件数も成約価格も上昇していますが、取引シェアが大きいわけではありませんので、今後も上昇が続くかどうか見ていく必要があるでしょう。

いずれにしても、今回のレポートだけで判断するのは早計ですので、今後の結果を見続ける必要があるでしょう。

格差が広がっている

近畿圏全体で、成約価格は2,387万円と前年比で6.8%上昇しました。
しかし、近畿圏12地域のうち7地域が上昇している一方で5地域が減少しており、上昇エリアは前期と比べて2地域減っています。

近畿圏全体の土地の成約価格の変動率は、大阪市(+25.2%)、神戸市(+20.2%)、京都府他(+12.6%)、滋賀県(+10.5%)で近畿圏平均(+6.8%)を上回っており、大阪府東部(+5.3%)、大阪府北部(+3.6%)、大阪府南部(+3.4%)、和歌山県(-3.6%)、奈良県(-3.7%)、阪神間(-5.1%)、京都市(-6.4%)、兵庫県他(-10.8%)となっています。

近畿圏平均より高い地域は12地域のうち4地域であり、この4地域とほかの8地域の差が大きいことがわかります。

また成約価格も、平均より高い地域は12地域のうち5地域であり、大阪市(4,520 万円)、大阪府北部(3,481 万円)、京都市(3,255 万円)、神戸市(2,810万円)、阪神間(2,664 万円)とほかの7地域の差が大きくなっています。

大阪府も格差が広がっている

大阪府においても、格差が広がっています。

土地の成約価格の変動率は、大阪市(+25.2%)、大阪府東部(+5.3%)、大阪府北部(+3.6%)、大阪府南部(+3.4%)となっています。
すべての地域で上昇しているものの、大阪市の突出ぶりが顕著になっています。

また、成約価格は、大阪市(4,520 万円)、大阪府北部(3,481 万円)、大阪府東部(2,245 万円)、大阪府南部(1,931 万円)となっています。
大阪市と他地域の差が広がっています。

大阪府以外では、成約数が増えているものの成約価格は減少している地域があります。
楽観視できない状況にあるかもしれません。

終わりに

今回は、2024年4月の大阪府の不動産市況について、お話し致しました。

2024年1~3月期の近畿圏市場近畿レインズのレポートによると、金利環境について言及し、以下のように報告しています。

日銀は3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除し短期金利の誘導目標を0〜0.1%に引上げ、長期金利の誘導目標(イールドカーブコントロール)も撤廃した。
物価と賃金上昇の継続性などを前提としながらも追加的な利上げは否定しておらず、金利のある世界への転換が現実味を帯びてきた。

ただ、更なる物価上昇や日米金利差の再拡大など外部環境が大きく変化しない限り、急速かつ大幅な利上げは考えにくく、今後とも低い金利環境は維持される公算である。

政策金利に基づく短期プライムレートと連動し、借り入れの大半を占める変動型住宅ローン金利には上昇圧力がかかるが、既に変動金利を利用している購入者の負担は当面変化せず、新規利用者の金利は上昇する可能性が高まる。
追加利上げの際は、既存利用者の変動金利も上昇し始めるが、利上げ幅は極めて小さく金融機関の貸出競争も続いており、当面の変動金利は1%未満の水準にとどまると予想される。

購入マインドに対する一時的な影響は避けられないが、売り圧力が高まる中でエリアや価格帯などで多様な選択肢があり、高止まりする新築価格に対しても安価な物件を提供できる中古住宅市場では、引き続き需要は底堅く推移するとみられる。


1つのポイントは「売り圧力が高まる中でエリアや価格帯などで多様な選択肢がある」でしょう。
近畿圏全体としてみた場合、エリアや価格帯などで多様な選択肢があるということは、言い換えれば、地域による格差が広がることを示唆しています。

また、売り圧力が高まるということは、今後も新規登録(売り出し)件数が増えることを意味します。
売却する人にとっては、今後も競合物件が増えることを考えておかなければなりません。

今回は、近畿圏全体からみた大阪府の不動産市況について、お話し致しました。
次回は、大阪市の淀川区について、お話し致します。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。