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雑談【書評】アルジャーノンに花束を

少し前に「ブログの文体が堅い」という指摘を受けました。
柔らかい文体にしようといっても、どのようにすればよいか見当もつきません。
そこで、不動産とは関係がないことをブログに書いてみようと思いました。

しかし何を書こうか。
なかなか考えがまとまりませんでしたが、ふと書評をしてみようと思いました。

現在は多くの人が、スマホを使ったSNSによるコミュニケーションに慣れています。
スマホは長文を読むには適していないため、簡潔にまとめたり、文字の色を変えてアクセントをつけてみたり、空白行をつけてみたりして、スマホで読みやすいように工夫されています。
一方で、本はWeb記事に比べると文字の装飾などは少なく、逆に太字などを多用して読ませるような本は読みにくいとすら感じます。

読みやすい文体に変わるかどうかわかりませんが、ちょうど本を読み終えたところで少し時間がありましたので、やってもりにはいい機会でしょう。

【書評】アルジャーノンに花束を

さて、この本を以前に読んだのはいつだったか...。
おそらく10年以上前だったように思います。

この本を初めて読んだとき、あまりの読みづらさに最初の数ページで我慢ができなくなり、主人公チャーリィの知能がアップしたあたりまで飛ばして読みました。
そして、その後の展開も想像がついてしまい、途中で読むことを止めてしまいました。
その当時「読んでつまらないと思えば最後まで読む必要はない」というような記事をみました。
それでこんな乱暴な読書をしたのでしょう。

再読してみたところ、最後まで読み切ることができました。
この本は多くの人が感動した本としてあげられますが、私には感動はほとんどありませんでした。
その感動させられる部分は理解できますが、果たして、実際にチャーリィが現実に目の前にいたならば、どのような対応をとるでしょう。

登場人物の人たちは、みなリアリティにあふれています。
数人は肯定的に向き合っていますが、表立って守ってくれる人はいません。

そして家族は悲惨な状況です。
私が子どもの頃、近所に知的障害の子がいました。
私はそのご家族のことを思い出さずにはいられません。

この本で養護学校の先生が「金や物を与える人間は大勢いるが、時間と愛情を与える人間は数少ない」と言っています。
お金や物だけではなく、時間と愛情がなければ、幸福はないでしょう。
父親は知能が上がったチャーリィと会っても気づきませんでしたが、妹はすぐに気づきました。
チャーリィには少しは良いことがあったようです。

また、知能が上がったチャーリィに対する周りの人たちの変化も見逃せません。
人は、相手を自分と比べて、付き合い方を変えています。
もしチャーリィに余裕があれば、利口に見せないように振舞っていたかもしれません。
小さい人は大きく見せようとし、大きい人は小さく見せようとします。
チャーリィのようなことが起こるからです。

この物語には救いはないと思います。
だからこそ、読み応えがある本でした。

あとがきに、作者が作品を書き上げたとき、編集者に手直しを迫られたことが書かれています。
もし、ここで書かれているような手直しがあったら、私にとっては陳腐な本でしかなかったでしょう。
しかし、その方が売れると考えられたことは、重要ではないでしょうか。
人々は感動を求めているようですが、作者やチャーリィは感動を求めていないように思います。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。