近年、大規模水災害の頻発により甚大な被害が生じており、不動産取引時においても、水害リスクに係る情報が契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっています。 特に甚大な災害といえば、2011年3月11日に発生した東日本大震災でしょう。 100年に一度の大災害に耐えられるとされていた構造物ですら災害を防ぐことができなかったことから、国や地方自治体は構造物で被害を防ぐだけではなく、人命を最優先に確保する避難対策としてハザードマップに力を入れています。 国土交通省は、地域住民の避難行動の指針とすべく、災害用ハザードマップをポータルサイトで公開しています。 ハザードマップ(防災マップ)とは、災害の場所と被害頻度を予測し、その範囲をマップ上で表した地図です。 防災ツールとして有効なだけではなく、土地購入の判断材料としても活用できます。 今回は、不動産売却に影響するハザードマップについて、お話し致します。
ハザードマップ
ハザードマップとは、災害の場所と被害頻度を予測し、その災害の範囲をマップ上で表した地図のことです。
「洪水」、「内水」、「高潮」、「津波」、「土砂災害」、「火山」などの種類があります。
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、全国の市区町村により作成されたハザードマップが、インターネット上に集約されています。
防災情報を1つの地図に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」と、自治体が作成したハザードマップを簡単に検索できる「わがまちハザードマップ」の、2つの機能が利用できます。
「洪水」、「内水」、「高潮」、「津波」、「土砂災害」、「火山」などの種類があります。
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、全国の市区町村により作成されたハザードマップが、インターネット上に集約されています。
防災情報を1つの地図に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」と、自治体が作成したハザードマップを簡単に検索できる「わがまちハザードマップ」の、2つの機能が利用できます。
造成宅地防災区域
宅地造成等規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)に基づく造成宅地防災区域とは、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者、その他の者に危害を生ずるものの発生の恐れが大きい一団の造成宅地について、指定される区域をいいます。
造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、宅地造成に伴う災害が生じないように、擁壁等の設置、または改造、その他必要な措置を講ずるように努めなければなりません。
造成宅地防災区域内の造成宅地であって、宅地造成に伴う災害を防止するための擁壁等が設置されていない場合や、擁壁等が極めて不完全であり、これを放置することで宅地造成に伴う災害の発生の恐れが大きいと認められる場合には、当該宅地の擁壁等の所有者等に対して、擁壁等の設置、もしくは改造、または地形もしくは盛土の改良のための工事を行うことを命じるられる可能性があります。
そのため、宅地建物取引業者は、対象不動産が造成宅地防災区域内に存するか否かについて、説明する義務があります。
なお、宅地造成等規制法は、改正により「宅地造成及び特定盛土等規制法」と名称を改めました。
都道府県知事等が、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定したり、農地・森林の造成や土石の堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とする等の、規制の改正がなされるため注意が必要です。
造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、宅地造成に伴う災害が生じないように、擁壁等の設置、または改造、その他必要な措置を講ずるように努めなければなりません。
造成宅地防災区域内の造成宅地であって、宅地造成に伴う災害を防止するための擁壁等が設置されていない場合や、擁壁等が極めて不完全であり、これを放置することで宅地造成に伴う災害の発生の恐れが大きいと認められる場合には、当該宅地の擁壁等の所有者等に対して、擁壁等の設置、もしくは改造、または地形もしくは盛土の改良のための工事を行うことを命じるられる可能性があります。
そのため、宅地建物取引業者は、対象不動産が造成宅地防災区域内に存するか否かについて、説明する義務があります。
なお、宅地造成等規制法は、改正により「宅地造成及び特定盛土等規制法」と名称を改めました。
都道府県知事等が、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定したり、農地・森林の造成や土石の堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とする等の、規制の改正がなされるため注意が必要です。
土砂災害警戒区域
土砂災害警戒区域とは、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には、住民等の生命または身体に危害が生じる恐れがあると認められる、土地の区域をいいます。
土砂災害を防止するために、警戒避難体制を特に整備すべき地域に指定される区域であることから、対象不動産が、当該区域内に存するか否かについて説明する義務があります。
なお、対象不動産が土砂災害警戒区域に存することで、法令上、対象不動産の取引や建築に関して許可や届け出を要する等の記載が加えられているわけではありませんが、災害の防止のため、自治体ごとに何らかの制限を設けている場合が考えられますので、注意しましょう。
土砂災害特別警戒区域内では、対象不動産の建築に関して一定の制限が課せられています。
特に注意が必要でしょう。
土砂災害を防止するために、警戒避難体制を特に整備すべき地域に指定される区域であることから、対象不動産が、当該区域内に存するか否かについて説明する義務があります。
なお、対象不動産が土砂災害警戒区域に存することで、法令上、対象不動産の取引や建築に関して許可や届け出を要する等の記載が加えられているわけではありませんが、災害の防止のため、自治体ごとに何らかの制限を設けている場合が考えられますので、注意しましょう。
土砂災害特別警戒区域内では、対象不動産の建築に関して一定の制限が課せられています。
特に注意が必要でしょう。
土砂災害警戒区域等の指定等に必要な基礎調査
土砂災害防止対策推進法では、都道府県は、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域(以下「土砂災害警戒区域等」)の指定等に必要な基礎調査を行い、基礎調査の結果を公表します。
具体的には、基礎調査を行い、その結果として、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域、および急傾斜地の崩壊が発生した場合には、建築物に損害が生じ、住民等の生命、または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域、すなわち、土砂災害警戒区域等に相当する範囲を、平面図に明示して、都道府県の広報への掲載、インターネットの利用、その他の適切な方法により公表するものとされています。
このため、土砂災害警戒区域等に相当する範囲は、都道府県により、土砂災害警戒区域等に指定される可能性があることから、対象不動産が土砂災害警戒区域に相当する範囲に含まれる場合には、宅地建物取引業者は、その旨と当該範囲が土砂災害警戒区域等に指定される可能性があることを、説明することとされています。
具体的には、基礎調査を行い、その結果として、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域、および急傾斜地の崩壊が発生した場合には、建築物に損害が生じ、住民等の生命、または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域、すなわち、土砂災害警戒区域等に相当する範囲を、平面図に明示して、都道府県の広報への掲載、インターネットの利用、その他の適切な方法により公表するものとされています。
このため、土砂災害警戒区域等に相当する範囲は、都道府県により、土砂災害警戒区域等に指定される可能性があることから、対象不動産が土砂災害警戒区域に相当する範囲に含まれる場合には、宅地建物取引業者は、その旨と当該範囲が土砂災害警戒区域等に指定される可能性があることを、説明することとされています。
津波災害警戒区域
津波災害警戒区域とは、津波が発生した場合には、住民その他の者の生命、または身体に危害が生じる恐れがあると認められる土地の区域をいいます。
対象不動産が津波災害警戒区域にあるか否かは、住民その他の者の生命又は身体に関する重要な情報です。
そのため、宅地建物取引業者は、この説明をする義務があります。
対象不動産が津波災害警戒区域にあるか否かは、住民その他の者の生命又は身体に関する重要な情報です。
そのため、宅地建物取引業者は、この説明をする義務があります。
水防法に基づく水害ハザードマップ
近年大規模水災害が頻発していることから、宅地建物取引業者は、水害リスクに係る説明を、売買締結前に行うことが重要であると考えられるようになりました。
そこで、水防法に基づき作成されたハザードマップを活用し、水防法の規定により市区町村の長が提供する図面、水害、ハザードマップにおける対象不動産の所在地を、宅地建物取引業者は、重要事項として説明することになりました。
そこで、水防法に基づき作成されたハザードマップを活用し、水防法の規定により市区町村の長が提供する図面、水害、ハザードマップにおける対象不動産の所在地を、宅地建物取引業者は、重要事項として説明することになりました。
用語の定義
なお、水防法における主な用語の定義は、以下のとおりです。
① 洪水浸水想定区域
想定し得る最大規模の降雨により、河川が氾濫した場合に、浸水が想定される区域のこと。
② 内水(雨水出水)浸水想定区域
排水施設に雨水を排出できなかった場合、または排水施設から河川等に雨水を排出できなくなった場合に、浸水が想定される区域のこと。
③ 高潮浸水想定区域
海岸について、高潮時に想定し得る最大規模の高潮によって、氾濫が発生した場合に、浸水が想定される区域のこと。
なお、洪水、内水(雨水出水)、高潮を「水害」または「洪水」と総称し、洪水浸水想定区域、内水(雨水出水)浸水想定区域、または高潮浸水想定区域を、「浸水想定区域」と総称することがあります。
① 洪水浸水想定区域
想定し得る最大規模の降雨により、河川が氾濫した場合に、浸水が想定される区域のこと。
② 内水(雨水出水)浸水想定区域
排水施設に雨水を排出できなかった場合、または排水施設から河川等に雨水を排出できなくなった場合に、浸水が想定される区域のこと。
③ 高潮浸水想定区域
海岸について、高潮時に想定し得る最大規模の高潮によって、氾濫が発生した場合に、浸水が想定される区域のこと。
なお、洪水、内水(雨水出水)、高潮を「水害」または「洪水」と総称し、洪水浸水想定区域、内水(雨水出水)浸水想定区域、または高潮浸水想定区域を、「浸水想定区域」と総称することがあります。
調査
対象不動産が所在する、市区町村のホームページまたは窓口で、入手可能な最新の水害ハザードマップ(洪水・内水(雨水出水)・高潮のそれぞれについてのもの)を、入手します。
宅地建物取引業者は、説明にあたって、水害、ハザードマップにおける対象不動産の地番まで正確に示す必要まではなく、概ねの位置を示すことで足りるとされています。
ただし、対象不動産が浸水想定区域「外」にある場合でも、対象不動産の位置を示して説明しなければなりません。
また、ハザードマップにおける、対象不動産の想定浸水域や避難所についても、確認しておくことが望ましいでしょう。
宅地建物取引業者は、説明にあたって、水害、ハザードマップにおける対象不動産の地番まで正確に示す必要まではなく、概ねの位置を示すことで足りるとされています。
ただし、対象不動産が浸水想定区域「外」にある場合でも、対象不動産の位置を示して説明しなければなりません。
また、ハザードマップにおける、対象不動産の想定浸水域や避難所についても、確認しておくことが望ましいでしょう。
注意事項
河川ごとに水害ハザードマップが作成されている場合は、それぞれについて、確認しておく必要があります。
宅地建物取引業者も、それぞれについて、確認をしたうえで説明をしなければなりません。
宅地建物取引業者も、それぞれについて、確認をしたうえで説明をしなければなりません。
地震ハザードマップ
地震ハザードマップには、今後想定される地震とその被害範囲、地域別の建物被害予測図、地盤の液状化リスクを示すデータを伝えています。
地震ハザードマップから、地盤によって揺れやすい地域と揺れにくい地域があることを確認できます。
地震ハザードマップから、地盤によって揺れやすい地域と揺れにくい地域があることを確認できます。
液状化マップ
一定のバランスを保っている地下水で飽和した状態にある砂層が、強い地震によって揺すられると、砂と砂のすき間にある水を押し出そうとする動きをします。
そして、ついには砂の粒子のかみ合わせがはずれてしまい、砂の粒子は水の中に浮いた状態となります。その際、押し出された水が砂とともに地表にあふれ出します。
このように、地盤があたかも液体のようになる現象を「液状化現象」と呼んでいます。
液状化(ハザード)マップが公開されている自治体もありますので、確認してみましょう。
そして、ついには砂の粒子のかみ合わせがはずれてしまい、砂の粒子は水の中に浮いた状態となります。その際、押し出された水が砂とともに地表にあふれ出します。
このように、地盤があたかも液体のようになる現象を「液状化現象」と呼んでいます。
液状化(ハザード)マップが公開されている自治体もありますので、確認してみましょう。
終わりに
今回は、不動産売却に影響するハザードマップについて、お話し致しました。
世界と比較して日本はこれまで災害が多いため、そのリスクについて考え、対策をしなければなりません。
ハザードマップには、「洪水」、「内水」、「高潮」、「津波」、「土砂災害」、「火山」などの種類があります。
災害の種類に応じてさまざまなパターンが作成されており、日本の多くの市区町村で配布されています。
災害の被害を最小限にするためには、平常時より災害リスクを認識したうえで、危険個所について正確な情報を知ることが大切でしょう。
特定の地域の災害予測範囲が分かると同時に、避難場所や経路に関する情報も入手できます。
ハザードマップをうまく活用して、その土地の災害リスクを認識したうえで、土地売却や購入に役立てましょう。
執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。
世界と比較して日本はこれまで災害が多いため、そのリスクについて考え、対策をしなければなりません。
ハザードマップには、「洪水」、「内水」、「高潮」、「津波」、「土砂災害」、「火山」などの種類があります。
災害の種類に応じてさまざまなパターンが作成されており、日本の多くの市区町村で配布されています。
災害の被害を最小限にするためには、平常時より災害リスクを認識したうえで、危険個所について正確な情報を知ることが大切でしょう。
特定の地域の災害予測範囲が分かると同時に、避難場所や経路に関する情報も入手できます。
ハザードマップをうまく活用して、その土地の災害リスクを認識したうえで、土地売却や購入に役立てましょう。
執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。