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区分所有マンションを貸すときに注意すること

区分所有マンションを貸すときの注意点とは
公的年金制度の将来に不安を感じる人は少なくありません。
厚生労働省のホームページには、公的年金は、現役世代から高齢者世代へ仕送りするという「世代間扶養」が基本であると、説明されています。
「世代間扶養」とは、受給世代の年金給付費をその時の現役世代の保険料負担で賄う仕組みであり、 現役世代が拠出した保険料はそのまま自分の将来の年金給付の原資とはなりません。
現役世代が負担する保険料は、前世代の給付の財源となります。
現役世代が受給者となったときの年金給付費は、次の世代の保険料負担で賄われることとなります。

不動産投資は、公的年金制度に不安を感じる人が、公的年金を補う、もしくは公的年金に代わる方法の1つとして検討されるようになっているため、関心を集めているようにもみえます。
そのため、不動産投資を、投資という側面からみている人が多いのではないでしょうか。

不動産投資の収益は、不動産を賃貸することで得られる収益です。
不動産投資によって収益を上げるためには、不動産賃貸について理解しなければなりません。
今回は、区分所有マンションを貸すときに注意することについて、お話し致します。

売主は投資用物件をなぜ売却するのか

区分所有マンションに関わらず、すべての売却物件には、売主が売却したい事情や理由があります。
売主自らが居住することを目的として所有している物件は、住み替えや相続などによって取得したため相続人は使用しないから、といった事情が考えられます。
別荘など、セカンドハウスとして所有している物件は、別荘などセカンドハウスとして使用しなくなったから、といった事情が考えられます。
では、投資用物件は、どのような理由で売却したいと考えるようになったのでしょうか。

不動産業者が所有している物件は、最初から投資用物件として販売することが目的です。
これは考えるまでもないでしょう。
では、不動産業者ではない一般投資家の方が所有している物件は、なぜ売却しようとされているのでしょうか。
不動産賃貸では、ここに気をつけなければなりません。

たとえば、より規模が大きい投資用物件に買い換えるため、その原資となる現金を確保することを目的としている可能性があります。
一定の条件による事業用不動産の買い替えを行うことによって、譲渡税の課税を繰り延べすることができることもあります。
また、所有している不動産の価値が高騰しているため、売却するということもあるかもしれません。
しかし、そのような理由から売却をしたいと考えている方ばかりではないでしょう。
その多くは、後ろ向きな事情や理由があるかもしれません。

空室の問題

極めて大きな問題です。

区分所有マンションは、複数の賃貸の部屋がある一棟型マンションと比べると、1室あたりの比重が大きいことが特徴です。
1室空室になれば、賃料収入はなくなります。
複数の部屋がある一棟型マンションであれば、その部屋数の分、1室空室になることの重みは少なくなります(一方で、1室空室になる機会が、その部屋数の分、多くなります)。

区分所有マンションを1室のみ所有されている場合は、満室か空室、例えるならば100か0です。
空室でないかどうかは、極めて大きな影響があります。

対策として、区分所有マンションを複数もつことによって、分母を増やし、その部屋数の分、1室空室になることの重みを減らすことができます。
また、投資する先を分散させる方法もあるでしょう。
しかし、それは新たに投資できる余裕があるオーナー様の方法です。

空室期間が長い

入居者が退去され空室になってから、次の賃借人がなかなか決まらずに困ったことはありませんでしょうか。

例えば、学生街にある単身用の投資マンションの場合は、学生の入学や卒業のタイミングに大きく左右される傾向があります。
そのため、春先に退去されても、同じタイミングで次の賃借人が決まる可能性が高いでしょう。
一方で、そのタイミングを逃してしまうと、次の賃借人を決める機会を失ってしまいます。
退去時期は賃借人に委ねられますので、要は運だということです。
オーナーは、常に長期空室になる可能性があることを、考えておかなければなりません。

賃貸期間が安定せず、頻繁に入れ替えがある

賃借人の礼金に対する抵抗が強いため、一般的に、礼金の相場は下がっております。

また、かつては退去時に敷金から多くの費用を控除されていた時代がありましたが、現在では原状回復の定義も明確化されたため、かつてのような費用を控除することはできなくなりました。
そのため、敷金を返金しなければならないのであれば、多くをお預かりする必要がないと考えるオーナーが増えました。

そうした経緯から、礼金と敷金の金額の相場が下がり、賃借人にとっては転居に伴う投資費用(イニシャルコスト)が安価になり負担が少なくなり、転居がしやすくなりました。

また、終身雇用制の時代感が薄まり、転職が珍しくなくなったということも、住み替えが増えた要因として考えられます。

入れ替えが行われるたびに、新しい入居者が決まるかどうかを心配しなければなりませんし、新たな賃貸借契約に係る経費を必要とします。
また、入れ替えが行われるたびに、リフォームを行わなければなりません。

想定よりも賃料が低い

住居を必要とする人が減っている一方で、新しい賃貸マンションが建設されていることを心配されるオーナーは少なくないでしょう。

需要と供給のバランスの変化は、空室率や賃料等に明らかに影響があります。
建設会社が売上げを上げ利益を得るためには、新しいマンションなどを建て続けなければなりません。
この収益構造は、今後も大きく変わることはないでしょう。
東京以外の都市圏では人口の流出が問題視されています。
人口の流出を止めるためにも、マンションの建設を抑制することはできないと考えます。
マンションの新たな建設に規制を加えるべきだという声もあるようですが、実現できるようには思えません。
そのため、既存の物件のオーナー様は、今後も常に、より新しいマンションと競いあわなければならないと考えた方がよいでしょう。

しかし、賃料が上がらない原因は他にもあるかもしれません。
賃借人の生活水準が、以前よりも下がっていることにも起因すると考えられます。

社会全体の経済情勢が向上しなければ、給与水準は上がりません。
結果、住宅に投資する金額が上がらず、賃料を上げることができないと考えられます。

マンション投資によって収益を得る方法は、転売による差益収益を目的とする方法と、長期にわたって保有し維持管理していくことによって固定の安定収益を得る方法と、2種類あります。
転売による差益収益を得る手段は、プロである不動産業者であっても簡単ではないため、一般の投資家が行われることは少ないでしょう。
多くの一般の投資家の方は、長期にわたって保有し、維持管理をしていかなければなりません。

維持管理の費用の問題

新築マンションであれば、設備等も新しいものであるため、すぐに修理や取替を行うような事態にはならないでしょう。
しかし、いずれは性能が劣化し、修理や取替を行わなければならないときが到来します。
そのことについて、修理や修繕を行わなければならないタイミングの間際で、売却し手放すことはできないものかと思案される方がいらっしゃるかもしれません。

購入を検討される方には、意外とこの点を見落とされる方がいらっしゃるようです。
売主がその投資用物件をなぜ売却するのか、冷静に考えれば、その可能性に気付くでしょう。

投資用マンションを賃貸することによって毎月得られる収益によっては、修理や取替に要する費用の負担が大きい場合もあるでしょう。
「その修理や取替を行うことによって、数ヵ月分の家賃が吹き飛んでしまう」と、困られるオーナーは少なくありません。
良い利回りの物件を購入することを検討される場合、対象物件の修繕履歴を確認しておきましょう。

賃貸契約や物件の管理方法について

投資物件を賃貸することによって収益をあげるためには、賃貸契約の手続きや入居者との対応、家賃の入金管理といった「賃貸契約の管理」と、主に専有部分の修繕や取替といった「物件の管理」を行う必要があります。
なお、区分所有マンションの共用部分は、区分所有者で構成されるマンションの管理組合が管理を行います。

「賃貸契約の管理」と「物件の管理」をオーナー自身ができないようであれば、専門の業者へ委託しなければなりません。
その場合は委託料が必要です。
また、どの業者へ委託するかについて、どの程度お考えでしょうか。

賃貸契約の管理

賃貸契約の管理業務を管理業者へ委託した場合、その委託された業務の一部を、さらに第三者へ再委託することが増えています。

たとえば、賃借人が家賃の支払いを滞った場合は、業務を委託されている管理業者が督促を行っていました。
しかし最近では、賃借人が賃貸保証会社(家賃保証会社)と家賃の保証契約を締結することを義務付けるケースが大半となっています。
この賃貸保証の契約とは、賃借人が家賃の支払いを遅延した際に、保証会社が賃貸人への支払いを立て替えるものです。
そのため、滞納があった場合、保証会社が賃借人に対して督促を行うため、管理業者が督促を行う必要がありません。

また、キッチンの水栓からの水漏れやトイレの詰まりなどの水回りのトラブルや入居者が鍵を失くした場合の一時的な対応など、生活を行ううえでのトラブルを専門に行うサポート業者とのサービス契約を締結することを義務付けるケースも増えています。

家賃の滞納や室内のトラブルにも様々なケースがあるため、すべてを再委託した業者に対応を任せることはできないでしょうが、管理業者自身の業務を大幅に軽減させています。
今後はAIなどの技術による業務の自動化も進むことでしょう。

これまで管理業者のスタッフが対応してきた業務を、外部業者に委託したり、作業を自動化させています。
そのため、管理業者との付き合い方が、変化していることを理解する必要があります。
これからは、管理業者の担当者によるコミュニケーションは希薄になり、内容も薄いものになるだろうと考えられます。
担当者はもちろん、自社スタッフが実際に対応していない業務について、正確な情報が得られるとは考えない方がいいでしょう。
これは不動産管理に限ったことではないので、イメージをしやすいのではないでしょうか。

もちろん、すべての管理業者が同じであるとはいいません。
しかし、人によるサービスを提供するためには人件費が必要です。
質の良いサービスを得るためには高い人件費が必要であり、安い人件費で質の良い管理サービスを提供することはできません。
これからは、管理業者によるサービスの違いは少なくなるでしょうし、業務はマニュアル化されていくことになるでしょう。

そこで、投資される物件を見直してください。
特別なトラブルが発生する機会が少なければよいですが、特別なトラブルが発生する機会があるようでしたら、賃貸契約の管理にも大きな支障が出る可能性があります。

物件の管理

物件の管理についても、先述したとおりです。

設備の修理などは、管理業者が行うことは少なく、設備の業者へ委託するケースが大半です。
また、キッチンの水栓からの水漏れやトイレの詰まりなどの水回りのトラブルや入居者が鍵を失くした場合の一時的な対応など、生活を行ううえでのトラブルを専門に行うサポート業者とのサービス契約を締結することを義務付けるケースも増えています。

間に介在する人が増えるだけ、思惑や正しい情報が伝わりにくくなります。
現場が実際にどうなっているか、その影響を受けるのはオーナーであることを理解いただく必要があるでしょう。

終わりに

今回は、区分所有マンションを貸すときに注意することについて、お話し致しました。

特に、これから不動産投資を考えておられる方に向けて、本ブログを作成しました。
注意するべきことには、ほかにも融資のことなど、ほかにもあります。
不動産投資に関わらず新しいことにチャレンジをすることは大切なことですが、冷静に考えることもまた必要でしょう。
投資とは、利益を見込んでお金を出すことだからです。
何のために投資をするのか、十分に考えなければなりません。

金融庁のホームページでは、貯蓄と投資の違いについて、このようにあります。
「教育や老後資金など、今すぐに必要にならなくても、将来のために増やしていきたいお金は、株式や投資信託などを利用した「投資」の形で、長い期間をかけて少しずつ増やしていくと良いでしょう。
これらの「投資」の形で持っていると、お金として引き出して使うためには、投資した資産を売却して現金に換えるなど、一定の手順を踏む必要があります(流動性が低い)。
また、値上がりや利益の分配などを通じて、預貯金よりも利益を得られる可能性が高いという性質がありますので、一般的には、ある程度、先を見越した備えのために活用するのに向いています。」

投資は、一般的には、ある程度、先を見越した「備えのため」に活用するのに向いています。
特に初めての方には、無理な投資は控え、余裕を残した程度からすすめることをお勧めいたします。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。

参考:投資の基本【金融庁】