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マンションの広さや間取りに関して不動産売却に影響すること

1Rから3LDKなどの間取りについて
居住用の建物を必要とされている方には、一人暮らし向けの単身者の方もあれば、子どもや親などの家族の方もあります。
さらに、一人暮らしや家族にも、いろいろな年代や家族形態があります。
居住用の建物は、どのような世帯が住まうかによって、求められるものが変わります。

居住用の建物やお部屋を必要とする方にとって、広さや間取りは最初に考慮される条件の1つです。
購入される方には、ご自身が居住用として求めておられる方もあれば、賃貸にする投資用として求めておられる方もあります。
売却される方にとって、購入される方は広さや間取りは最初に考慮される条件の1つであることを、意識して対策を講じる必要があるでしょう。

実態として、一戸建てなどの建物には一人暮らし向けの単身者物件は多くありません。
そのため、ここでは主にマンションを対象とします。
今回は、マンションの広さや間取りに関して不動産売却に影響することについて、お話し致します。

不動産広告の表示のルール

普段目にする不動産広告には、さまざまな間取りのお部屋があって、見ているだけでも楽しいものです。
これらの不動産広告の表示の方法には、従わなければならないルールがあります。
ルールには、宅地建物取引業法(宅建業法)と不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)、2つあります。
まずは、この2つのルールについて確認しましょう。

宅地建物取引業に係る不動産広告のルール

宅建業法に係る不動産広告に関するルールとして、誇大広告の禁止、広告開始時期の制限、取引態様の明示の3つがあります。

(1) 誇大広告の禁止(宅建業法32条)
宅建業者が広告をするときは、宅地・建物の所在、規模、形質、現在もしくは将来の利用の制限、環境・交通その他の利便、代金・借賃等の対価の額もしくはその支払方法、代金もしくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をしてはならない、とされています。
また、実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示も禁止されます。

(2) 広告開始時期の制限(宅建業法33条)
宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、工事に関し必要とされる開発許可や建築確認があった後でなければ、工事に係る宅地・建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない、とされています。
未完成物件の売買(青田売りともいわれます)における広告は、広告開始時期の制限を受けます。

(3) 取引態様の明示(宅建業法34条)
宅建業者の取引への関与については、自らが契約当事者となる場合と、他人が当事者になる契約についての代理・媒介を行う場合があります。
宅建業法では、宅建業者が宅地・建物の売買・交換・貸借に関する広告を行うには、自己が契約の当事者となって売買・交換を成立させるか、代理人として売買・交換・貸借を成立させるか、または媒介して売買、交換もしくは貸借を成立させるかの、立場を明示しなければなりません。

広さや間取りに関わるものとしては、誇大広告の禁止にあるルールが該当するでしょう。

不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)に係る不動産広告のルール

表示規約に係る不動産広告に関するルールとして、自主規制、表示の基準、用語の使用の3つがあります。

(1) 自主規制
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、事業者または事業者団体は業種ごとに公正競争規約を設定し、それぞれ自主規制を行うことができると定めています。
表示規約は、この規定に基づき不動産業界が自主的に定めたルールです。

(2) 表示の基準
宅建業法が、不動産広告に関する基本的な禁止事項を定めているのに対し、表示規約では、正しい広告は、「虚偽を行わない」「うそをつかない」だけではなく、消費者が不動産を選ぶ場合に必要と考えられる事項を表示することだという立場から、物件の種類と媒体別に必ず表示すべき事項を定めるなど、不動産広告について、きめ細かいルールが決められています。
たとえば、物件と各種施設までの距離・所要時間を表示するについては、徒歩時間は80メートルにつき1分として表示しなければなりません。
また、広告における文字の大きさは、原則として7ポイント以上でなければならないという制約があります。

(3) 用語の使用
不動産広告において、抽象的な用語を使用することによって、消費者に誤認を与える場合があります。
そのため、消費者を誤認させる可能性のあるような一定の用語については、原則として、その使用が禁止されています。
使用が禁止される用語には、以下のようなものがあります(その表示内容を裏付ける合理的な根拠がある場合には、使用は禁止されません)。
① 完全、完ぺき、絶対
② 日本一、抜群、当社だけ
③ 特選、厳
④ 最高、最高級など最上級を意味する言葉
⑤ 格安、堀出、土地値
⑥ 完売など著しく人気が高く、売行きが良いことを意味する言葉

DK(ダイニング・キッチン)とLDK(リビング・ダイニング・キッチン)の広さの目安

広告に表示されるDK(ダイニング・キッチン)と、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)の広さについては、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)に定められています。

参考:公正競争規約の紹介【不動産公正取引協議会連合会】

DKとLDKの定義

DK(ダイニング・キッチン)とは、台所と食堂の機能が1室に併存している部屋をいい、住宅(住戸)の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状および機能を有するものをいいます。

LDK(リビング・ダイニング・キッチン) とは、居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、住宅の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状および機能を有するものをいいます。

DKとLDKの適正な広告表示

広告表示で、DK(ダイニング・キッチン)またはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)の表示を用いるときには、表示規約の要件(居室(寝室)数に応じて、その用途に従って使用するために必要な広さ・形状・機能を有するもの)を備えているのであれば、単に「2DK」、「3LDK」などと表示すればよい、とされています。
表示する際には、形状や機能がどのようなものであるか解るよう積極的に間取り図などを表示し、これに各部屋の畳数を付記することが望ましいと、されています。

DKとLDKの最低必要な広さの目安

事業者(広告会社などを含む。)が、DK(ダイニング・キッチン)またはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)との表示を用いるときには、実際のそれぞれの広さはまちまちであるとしても、次に記載する居室(寝室)数に応じて最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)を定め、これをもって指導基準とする、とされています。

【最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)】
① 居室(寝室)数が1部屋の場合
 DK:4.5畳
 LDK:8.0畳
② 居室(寝室)数が2部屋以上の場合
 DK:6.0畳以上
 LDK:10.0畳以上

なお、一畳当たりの広さは、1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上をいいます。

それぞれの間取りの需要者

間取りに関する広告や用語の整理の次は、具体的に間取りについて整理してみましょう。
概ね、1R(ワンルーム)から3LDKの間取りが多いでしょう。
これらの間取りは、それぞれどのような方々が選ばれるでしょうか。

1R・1K・1DK

1R(ワンルーム)は、居室の中にキッチンが付属しているタイプの間取りです。
1Kは、居室の外にキッチンが付属しているタイプの間取りです。

また、1DKは、ダイニング・キッチンが居室の外に付属しているタイプの間取りです。
調理や食事する場所と寝室は別にしたいという人に向いています。

これらは、居室が1つ、もしくは居室に加えてキッチンやダイニングスペースが付属している間取りであり、単身者に需要がある間取りでしょう。

1LDK

1LDKは、居室1つにリビング・ダイニング・キッチンが付属しているタイプの間取りです。
1LDKの間取りをもつマンションは、部屋のスペースは少なめであるものの、価格は安く抑えることができます。
これは、子どものいない夫婦やカップル、一人暮らしをゆったりと楽しみたい単身者などに需要がある間取りでしょう。

物件全体の広さにもよりますが、リビング以外の部屋もあることから、2人で住むことになっても比較的ゆったりと使うことができます。
単身者層であれば、利便性を重視する傾向が高く、駅近などアクセスが良好な物件が好まれるでしょう。
一方で、最寄り駅から徒歩20分以上かかるなど、利便性がよくなければ、需要が低くなる傾向にあります。

2LDK

2LDKは、居室が2つあるのに加えて、リビング・ダイニング・キッチンが付属しているタイプの間取りです。
これは、子どもが独立して転出した老夫婦や子どもを持たない夫婦、もしくは子どもが1人居る3人暮らしのファミリー層に需要がある間取りでしょう。

周辺の環境や交通機関の使いやすさを重視している傾向があるため、物件の立地が駅近であったり、病院やスーパーなどの施設が充実していると、好まれるでしょう。

3LDK以上

3LDKは、居室が3つあるうえに、リビング・ダイニング・キッチンが付属しているタイプの間取りです。
これは、部屋の数が3つあるという特徴があることから、3LDKは子どものいるファミリー層や、今後子どもをもつ予定がある夫婦に需要がある間取りでしょう。

郊外であったとしても、学校や公園などの子どもに関連する場所が近くにあるマンションであれば好まれるでしょう。
幅広い需要があると考えられます。

4LDKは、居室が4つあり、さらにリビング・ダイニング・キッチンが付属しているタイプの間取りです。

これは、居室が4つあるため、使わない部屋があったり、使わない部屋があるにもかかわらず価格が高いということが考えられるため、3LDKに比べると需要が少ない間取りでしょう。
しかし、子どもの多いファミリー層に加えて、テレワークの影響による仕事部屋、もしくは趣味部屋を別に作りたいという方などから、新たな需要が増えてきています。

リノベーションによる間取り変更

さて、マンションには様々な間取りのお部屋がありますが、リノベーションによって間取り変更を行うことはできます。
ただし、間取りの変更には制限もあります。

例えば、以下のような問題が考えられます。
① リフォームに関するマンションの管理規約による定めがあります。
② マンションの管理組合(もしくは理事)に申請し、承認を得なければなりません。
③ 構造によっては、撤去できる壁とできない壁があります。
④ 給排水管などの位置を変えることができなかったり、勾配などの問題による設備不良の原因になる可能性があります。
⑤ バリアフリーのために床上げを行い段差は解消しても、天井高が低くなったり設備や建具の位置が変わってしまうこと。
⑥ もちろん、資金の準備が必要です。

また、間取りは、広さについても一緒に考える必要があります。
間取りは変更できますが、マンションの全体の広さを変更することができません。

昭和30年代から昭和40年代頃の高度経済成長期にあわせて、住宅不足の解消のため、数多くの団地が建設されました。
団地の建設に伴い、郊外には生活関連施設(教育機関、金融機関、店舗など)が併設したニュータウンが建設されました。
団地には20代から40代の子育て世代が多く入居していました。
しかし、時が経って高度経済成長期も終わり、その子ども世代が独立して団地から転出するようになると、団地の世帯も子ども世代もライフスタイルが一変します。
ライフスタイルの変化と多様化により、住宅に求められる間取りや広さも変化し多様化しました。
そのため、型にはめる必要はなくなってきていますので、創意工夫によっては多くの可能性があるでしょう。

終わりに

今回は、マンションの広さや間取りに関して不動産売却に影響することについて、お話し致しました。

マンション売却するためには、その広さや間取りに適したターゲット層を知ることが大切です。
マンションの広さや間取りによって、買い手となるターゲット層は変わります。
まずは、自分のマンションがどのような方に需要があるか、イメージをしてみると良いでしょう。

ただし、昨今はライフスタイルの変化と多様性から、思いもよらなかった方から求められることもあります。
ターゲット層を絞って狙いを定めていく方法か、いろいろな方からの問い合わせに柔軟に応えられる方法か、売主にも判断が迫られることになるでしょう。


執筆者
MIRAI不動産株式会社 井﨑 浩和
大阪市淀川区にある不動産会社を経営しています。不動産に関わるようになって20年以上になります。
弊社は、“人”を大切にしています。不動産を単なる土地・建物として見るのではなく、そこに込められた"想い"に寄り添い受け継がれていくよう、人と人、人と不動産の架け橋としての役割を果たします。