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不動産の飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況が売却に及ぼす影響

ライフラインを確認しましょう
飲用水や電気、ガス、排水などの諸施設は、日常生活に必要不可欠です。
売買する場合は、購入者が購入する目的に合わせて諸施設が利用できる状況にあるかどうか、その配管等の状況を把握しなければなりません。
また、諸施設について、将来にわたり整備計画があるかどうかも、把握しておく必要があるでしょう。

対象不動産を購入された当時と現在では、建物の諸設備の仕様は向上しており、また生活様式も異なるため、飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況次第では、価格への影響が出る可能性や売却が困難である可能性も考えられます。

今回は、飲用水や電気、ガス、排水などのライフラインが不動産売却に及ぼす影響について、お話し致します。

ライフライン

まずは、不動産のライフラインについて整理してみましょう。

最も重要なライフラインとして思い浮かべるものは、飲用水、電気、ガスの供給施設と排水の施設でしょう。
近年では、設備をオール電化に統一してガスを使わない仕様にされていることもあるでしょう。
しかし、不動産売却に際しては、ガスの整備状況を把握しておく必要があります。

また、テレビの受信設備、電話やインターネットなどの通信環境も把握しておく必要があります。
特にインターネットなどの通信環境は、重要な要素です。
仕事を自宅で行うテレワークは今後も続くでしょうし、あらゆる娯楽が映画館や百貨店に行かなくても、今や自宅でインターネットとデバイスを利用して楽しむことができる時代にあります。

購入者が求める需要を理解し、必要な情報を把握しておきましょう。

飲用水の供給施設の整備状況

飲用水は、大別すると井戸と水道に分類されます。

井戸について

井戸は、水道法が適用されない自家用水道に含まれます。
井戸水を引用する際の衛生確保は、原則として設置者である所有者の自己責任となります。
なお、事業等に引用として用いる場合には、水質検査が義務付けられます。

売却対象の不動産に古井戸が残されている場合には、建替え等にあたって障害となるケースがあります。
そのため、古井戸の位置等について改めて把握しておきましょう。

水道について

水道は、その事業主体に応じて公営と私営に区別されます。

公営水道は、水道法の適用を受ける地方公共団体である市町村が水道事業を運営し、維持管理を行います。
私営水道は、法人や組合などの民間が水道法に基づく許可を得て、別荘や団地等に給水を行います。

新規に水道を引き込んで使用する場合には、水道を使用する権利を取得する必要があります。
そのためには、水道事業者に加入金(受益者負担金)を支払わなければなりません。
現在、一般住宅に対して新規に水道を引き込むときは、水道事業者および水道工事業者などの設計基準により、口径を20mm未満にできない場合があります。
建替えを想定(予定)している場合は、特に注意をしなければなりません。

なお、新築時における敷地内配管の口径の目安は、その新築建物で使用する水栓の数で判断できる場合があります。
例えば、使用する水栓の数が12個以内であれば20mm、使用する水栓の数が15個以内であれば25mmでしょう。

電気の供給施設の整備状況

2016年4月の電力の小売り完全自由化により、それまで一般電気事業者(関西電力など)でなければ行われなかった家庭や小規模事業所向けの電気の小売りが、小売電力事業者の登録を受けた者であればできるようになりました。
そのため、電気の需要者は、自由に電力会社や料金メニューを選択できるようになりました。

マンション等の区分所有建物においては、管理組合が電力会社との間で、一括受電契約締結している場合があります。
その場合、各専有部分の区分所有者は、個別に小売電気事業者と電気供給契約を締結することはできません。
そのため、マンション等の区分所有建物において、一括受電方式によって電力の供給を受けている場合には、一括受電サービス会社の名称や契約期間を把握しておくことが求められます。

対象不動産が新規の開発分譲地内にある場合においては、電柱およびその支線が宅地内に設置される場合がありますので、設置位置等を把握しておくことが望ましいでしょう。

対象不動産上に高圧線が架設されている場合においては、電圧と離隔距離、具体的な建築規制がないか把握しておかなければなりません。
なお、離隔距離とは、電線が最もたるんだ状態、または電線が風の影響によりもっとも揺れた状態における、電線と建築物との間に必要な安全距離です。
電圧によってこの離隔距離は決まり、一定の電圧以上では、線下での築造禁止となる場合がありますので、注意しなければなりません。

ガスの供給施設の整備状況

ガスは、都市ガスとプロパンガスの2種類により供給されています。

都市ガス

都市ガスは、地域によりガス事業者(大阪ガスなど)によって、供給されているカロリー数(6B、12A、13A、天然ガスなど)が異なりますので、住み替えをする購入者に説明しなければなりません。
なお、大阪ガスは、標準熱量45メガジュール(約10,750kcal)の「13A」の都市ガスを供給されています。
必ず、「13A」に適合するガス機器をご使用ください。

なお、都市ガスも、2017年4月に小売が完全自由化されましたが、電力と異なり、マンション管理組合等が一括してガスの供給契約を締結する方式はありません。

都市ガスは、道路部分の配管までがガス事業者の所有で、敷地内拝観はその敷地所有者が所有し、維持管理を行うことになります。
ただし、ガス漏れの調査や不具合発生個所の特定などの保安管理は、通常ガス事業者が行っています。

プロパンガス

プロパンガスは、プロパン液化ガスを供給販売するもので、その供給方式により個別方式と集中方式に区別されます。

個別方式とは、各戸別にボンベに詰めたガスを供給する方式で、集中方式とは、一段の分譲地において集中供給施設を設け、この施設から各子に対し供給を行う方式です。

個別方式の場合も集中方式の場合も、プロパンガス販売業者によって、配管等の状況等は異なります。
そのため、配管や設備等の所有権の帰属先、管理責任の区分等について、確認する必要があります。

排水施設の整備状況

排水には、汚水、雑排水および雨水があります。

汚水

汚水の排水分類は、大別して公共下水、浄化槽および汲取式の3種類に分類されます。

公共下水とは、下水道法2条8項に定める下水道の処理区域内において、終末処理場へ接続されている下水管に直接放流できるものをいいます。

浄化槽とは、下水道法2条8項に定める下水道の処理区域外のうち地方公共団体が指定した区域等において、原則として住居用の一戸建の水洗便所と連結する汚水処理装置で、各戸別に設置する個別浄化槽と、分譲地等における処理場に一括のものとして設置される集中浄化槽に区分されます。

浄化槽は、下水道の処理区域外に設置しますので、対象不動産に浄化槽を設置するためには、浄化槽を設置するスペースがあるだけでなく、浄化槽で浄化した後の排水を放流するも明確にしなければなりません。
放流する先は、配水管や河川、海等ですが、建築指導窓口や保健所など管轄の官庁において浄化槽の放流先を調べておく必要があります。
個別浄化槽で処理した排水の放流先としては、暗渠排水や公共下水などの埋設管、側溝、もしくは放流先が未整備であるため宅地内で処理する方式として浸透式があります。

また、浄化槽には、水洗便所からの汚水のみを処理する単独処理装置(し尿浄化槽)と、汚水と雑排水を合わせて処理する合併処理装置があります。
なお、現在では単独処理浄化槽の設置は禁止されています。

個別浄化槽は、専門業者により年1・2回の清掃が必要ですが、保守管理に状況および費用は、浄化槽保守点検業務記録等で確認します。
集中浄化槽の維持管理費等は、個別の調査が必要です。

雑排水

雑排水とは、台所、浴室および洗面所等から排水される生活排水をいいます。
その処理方法は、公共下水、個別浄化槽、集中浄化槽、側溝等および浸透式の5種類に区分されます。

雨水

雨水とは、汚染されていない排水であって、公共下水または側溝等へ放流される強制排水と、宅地内に浸透させる自然排水とに大別されます。

なお、下水の排除方式には、合流式と分流式があります。
合流式とは、汚水や雑排水と雨水を一緒に排水する方式で、分流式とは汚水や雑排水と雨水を別々に排水する方式です
ただし、浄化槽への雨水の流入はできません。

テレビの受信設備、電話やインターネットなどの通信環境

テレビの受信設備、電話やインターネットなどの通信環境も重要な要素でしょう。
テレビアンテナは、その設置環境によってはブースター(増幅器)が不可避ということもあるでしょうし、外部にあるものですから、特に整備状態については把握してくべきでしょう。

なお、近年では、ケーブルテレビ(CATV「Common Antenna TeleVision」)や光回線によるテレビ視聴が普及しており、それぞれの運営会社がカバーするエリアにあるかどうかが重要になってきています。
ケーブルテレビなどはアンテナが不要であることがメリットの1つで、台風などの災害時にもアンテナの維持するコストが不要です。

ただし、若年層はテレビへの影響は小さくなっており、相対的にインターネットの通信環境の重要性が高まっています。
モバイルに対応する通信技術が発達している一方で、テレワーク需要も続くと考えられます。
また、インターネットのコンテンツは、テキストベースから写真、そして動画へ、通信にかかるトラフィック量が大きくなっています。
テレビの受信設備、電話やインターネットなどの通信環境などは、その売却対象の不動産というよりは地域に左右される要素も多いでしょう。
特に対象不動産が郊外の場合は、通信環境についても把握しておくことが求められます。

インターネットにかかる製品はいずれも電気が関わり、将来的に電気自動車が普及するようになれば、ますます電気の供給施設の重要性は高まるでしょう。
太陽光パネルの設置も進んでくることも予想され、屋根に置く設備はテレビアンテナから太陽光パネルに変わっていくことでしょう。

そのうえ、環境への取り組みが重要視されていることから、再生可能エネルギーや二酸化炭素排出抑制に対する対策がなされているかは、大きな判断材料の1つとなってきています。
環境への取り組みに対する価値観は、世代間によって意識が大きく離れていると感じています。
これからの世代は、モノに対する大量生産・大量消費の価値観を嫌厭する傾向にあります。

終わりに

今回は、飲用水や電気、ガス、排水などのライフラインが不動産売却に及ぼす影響について、お話し致しました。

ここでは触れませんでしたが、特に飲用水や排水などの配管を共有で使用しているケースや他人の敷地を経由しているケースなどもあり、他者の影響を受ける場合も考えられます。
また、私道に既設されている場合は、修繕や更新時に掘削の許可を得なければならないなどの問題もあります。

飲用水や電気、ガス、排水などの諸施設は、日常生活に必要不可欠です。
このライフラインが安心に満足して使用できるか否かは、購入希望者にとって重要な要素です。
まずは現状を正しく把握し、確認することから始めましょう。