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不動産売買時に注意すべき道路種別とは

道路の種別とは
不動産売買の取引では、契約の前に行う重要事項説明にて、道路の種別や接道状況についての説明があります。
市街地の不動産は、ある一定の道路幅や接道面がなければ、再建築ができないという規制に当たることがあります。
もし市街地で再建築ができない不動産であった場合は、新築住宅を求めている方には向かないため、所有者にとっては売却が困難となり、買い手を探しにくい事態になります。
道路は、不動産の取引を行ううえでとても重要な要素です。
今回は、不動産売買時に注意すべき道路種別について、お話し致します。

道路の法的な位置付けについて

日本の法律では、道路について、道路法、道路交通法、建築基準法、国有財産法、土地改良法、森林法などによって、それぞれ定義されています。

例えば、国有財産法では、道路法の適用がない法定外公共物の道路である里道や水路について、関りがあります(参考:不動産に関する「地図」と「公図」および「地番」について【ブログ】)。
ほかにも、土地改良法では農業用道路(いわゆる農道)について、森林法では林道について、それぞれ関りがあります。

一方、道路交通法では、道路について、道路法第2条第1項に規定する道路(いわゆる公道)と、道路運送法第2条第8項に規定する自動車道(専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道。道路法による道路以外のもの)、一般交通の用に供するその他の場所の3つに区分しています。
なお、一般交通の用に供するその他の場所とは、公道や自動車の交通のために設けられた道以外で、現実の交通の実態から道路とみなされる土地のことをいい、不特定の人や車が自由に通行することができる場所で、現実に通行に使用されている場所が該当します。
これらの道路で道路交通法を違反した場合は、反則行為の処理手続きの対象となることでしょう。

参考:不動産に関する「地図」と「公図」および「地番」について【ブログ】

道路法にもとづく道路の定義

不動産売買の取引で最も関りがある法律は、道路法と建築基準法でしょう。

道路法では、道路について、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道の4つに区分しています。
道路法における道路には多くの「公道」と言われる道路が該当します。
そして、道路法の道路に適用されない法定外公共物の道路として、先述しました里道や水路、農業用道路(農道)、林道などがあると考えれば、理解していただきやすいでしょう。

それぞれの法律に基づいて、それぞれ管理者があります。
公道であれば、管理者は国(国土交通省)や都道府県、市町村などで、それぞれの道路の種別によって管理部署が異なります。
道路と私有地の境界や、道路の幅員、道路の維持管理状況などの調査を行う場合は、それぞれの道路管理者に照会を行います。

なお、後述します建築基準法の道路のうち、(建築基準法)第42条第1項第1号の道路は、道路法にもとづく道路のことを指しています。

建築基準法にもとづく道路の定義

不動産売買の取引で最も影響力がある法律は、建築基準法でしょう。

大阪市では、建築基準法上の道路について、下記のように記載されています。
“道路は建物を利用する上で必要なものであり、災害時の避難や消防活動のため、また安全で良好な市街地環境形成のため、建築基準法では、建物の敷地は原則として「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければならない旨が規定されています。
建築基準法上の道路は、種別によって取扱いが異なりますので、建物を建築・購入等される方は、この道路種別を調査することが重要です。“

上記の「建築基準法上の道路」とは、道路法による道路や建築基準法が適用された際に現に存在した道などで、幅員4m以上のものをいいます。
ただし、幅員4m以上の道であっても「建築基準法上の道路」とみなされない場合があります。
実態として道路として利用されていても、建築基準法上の道路ではない道(通路)がありますので、注意が必要です。

逆に、幅員4m未満の道であっても、建築基準法が適用された際に建物が建ち並んでいた道で、一定の基準を満たすものは、「建築基準法上の道路」とみなされます。
大阪市では、行政庁が管理している道路(認定道路)で幅員4m未満のものの多くは、旧市街地建築物法第7条但し書きの規定によって、道の中心線から各2mを隔てた線に建築線が指定されており、現在の建築基準法ではこの線の位置に道路の位置の指定があったものとみなされます。

建築基準法では、建物の敷地は原則として「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければならない旨が規定されています。
そのため、例えば既存の古家を解体し、新築住宅を建築するためには、原則として「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければなりません。
また、幅員が4m未満の「建築基準法上の道路」に接道している場合は、道の中心線から各2mを隔てた線に建築線が指定されていることが多く、現在道の中心線から2mに満たない場合は要件を満たすために後退しなければなりません。
この後退のことを、セットバックとも言われます。
対象地が、「建築基準法上の道路」に接道しているのか、また道路種別は何か、これを確認しておかなければなりません。

ただし、この規定は、建築基準法第41条の2にて、「都市計画区域」および「準都市計画区域内」に限り適用される、とあります。
概ね市街地は、都市計画区域もしくは準都市計画区域内に該当しますが、田舎の郊外地は都市計画区域もしくは準都市計画区域の外に該当することもあり、適用されないこともあります。

建築基準法の道路の種別

建築基準法上の道路は、種別によって取扱いが異なります。
これより、主だった建築基準法の道路種別についてお話し致します。

なお、建築基準法の道路種別に、公道、私道の区別はありません。
建築基準法上のすべての道路が、公道であるわけではありませんので、お間違いないようにしてください。
公道、私道の区別は、登記簿謄本などにより確認します。

参考:建築基準法上の道路種別と道路判定等【大阪市】

第42条第1項第1号記載の道路

道路法による道路(高速自動車道を除く)で、幅員4m以上の道路です。
一般的には、国道や府道、市道が該当します。

第42条第1項第2号記載の道路

都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法による、幅員4m以上の道路です。
一般的には、都市計画道路、区画整理による道路、開発道路などが該当します。

第42条第1項第3号記載の道路

建築基準法施行時または都市計画区域編入時に既に存在する、幅員4m以上ある道路です。

第42条第1項第4号記載の道路

道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法による新設または変更の事業計画のある道路で、2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定した、幅員4m以上の道路です。

第42条第1項第5号記載の道路

土地を建築物の敷地として利用するため、建築基準法令等で定める基準に適合する道路で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けた、幅員4m以上の道路です。
位置指定道路ともよばれています。

第42条第2項記載の道路

建築基準法施行時または都市計画区域編入時に既に道として使用され、それに沿って建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で特定行政庁が指定した道路です。

第43条第2項第2号記載の道路

申請敷地の周囲に広い空地を有する建築物等で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて、建築審査会の同意を得た場合に許可された道路です。

なお、建築審査会とは、建築基準法に規定する同意、審査請求に対する裁決のほか、同法の施行に関する重要事項の調査審議を行う事務機関のことです。

この審査会で得られた同意は、その建築審査会で判断を求められた状況によって得られた同意であるため、永続的に認められるものとは言えません。
過去に第43条第2項第2号記載の道路として判断されたことは考慮されるでしょうが、新たに建築確認を申請するときには改めて建築審査会に判断を委ねなければなりません。
この道路の場合は、慎重に判断しなければなりませんので、ご注意ください。

終わりに

今回は、「不動産売買時に注意すべき道路種別」について、お話し致しました。

建築基準法では、建物の敷地は原則として「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければならない旨が規定されています。
対象の土地が、住宅など建物の建築を想定した土地である場合は、建築基準法上の道路に2m以上接していなければ、再建築などが行うことができません。
それは、対象不動産の価値に大きな影響があります。

現在建物が建っているからといっても、再建築ができるわけではありません。
また、購入者が住宅ローンなど銀行から融資を受ける場合は、その融資先がどのように評価されるかどうかにも、考慮しなければなりません。

今回は、道路の種別についてお話ししましたが、次回は道路に関わる具体的な事例を踏まえてお話し致します。