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登記されている不動産の図面について

土地や建物の図面とは?
登記情報には、土地や建物に関する図面があります。
土地の図面については重要と認識されている方が多いでしょうが、建物に関しても重要な図面です。

今回は、登記情報のうち「土地や建物の図面」について、お話し致します。

不動産の土地に関する図面、地積測量図・土地所在図

登記されている土地に関する図面には、地図、地図に準ずる図面、地積測量図、土地所在図、地役権図面があります。
このうち、地図と地図に準ずる図面については、別のブログの投稿でお話しいたしましたので、そちらをご覧ください。

地図や地図に準ずる図面が、各筆の土地の区画や地番を明らかにするために作成されたものである一方で、地積測量図、土地所在図は、一筆の土地の測量や所在を明らかにするために作成されたものです。
そのため、不動産売買の取引の実務では、それぞれの図面を取得し確認作業を行います。

以下では、利用する頻度が多い地積測量図と、利用頻度は多くありませんが土地所在図についてお話しします。
なお、地役権図面は、地役権の設定がある場合に地役権の設定登記をするとき、地役権の範囲が土地の一部の場合には添付される図面です。

参考:不動産に関する「地図」と「公図」および「地番」について【BLOG】

地積測量図とは

地積測量図は、不動産登記令では、「一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるものをいう」と、定義しています。
よりシンプルにお話しすると、地積測量図とはその名称のとおり、「地積」を表した「測量図」のことです。

「地積」とは、土地の面積のことです。
測量を行うことによって、土地の面積が明らかにし、一筆の土地ごとに、原則250分の1の縮尺で作図されます。
土地の面積のほかにも、境界標の位置や種類、境界点間の距離などが明らかにされています。

地積測量図は登記情報として取得することができますが、すべての土地について、法務局に備え付けられているわけではありません。
地積測量図は、下記のようなときに作成されます。
1. 土地分筆登記(1筆の土地を複数の土地に分ける登記)
2. 土地地積更正登記(土地の地積に錯誤または遺漏(いろう)があった場合に、訂正する登記)
3. 土地表題登記(土地の表題部に最初にされる登記)
上記のような登記が行われていない土地の場合は、地積測量図が存在しない可能性が考えられます。

地積測量図が法務局に備え付けてあれば、その図面は法務局が公示しているため、尊重される図面と考えられます。
測量図を作成する動機はさまざまなケースが考えられるでしょうが、法務局に備え付けられていなければ、その測量図の存在を第三者が知り得ることは困難で、気付かないことが多いでしょう。

地積測量図の成り立ち

地積測量図は、1960年(昭和35年)以前は申告図と呼ばれ、分筆や地籍更正を行う際に法定添付書類として使われていました。
その当時は、土地の境界に関する紛争はほとんどなく、境界線を明らかにするという目的では使われていなかったようです。
境界を明らかにすることよりも、納税を行うための面積を算出することが、主たる目的であったと考えられます。
またこの頃、地積測量図は法務局ではなく役場に保管されており、保存期間も10年間であったようです。
保存期間である10年を過ぎた申告書は廃棄され、一緒に申告図も廃棄されていました。
そのため、当時の申告書はほとんど残されてはいないようです。

その後、1960年(昭和35年)登記簿と台帳の一元化により、土地台帳法が廃止されました。
この頃から、土地の分筆、地積更正、表題登記等の申請をする場合、地積測量図の添付が義務付けられました。
なお、申告図が地積測量図と呼ばれるようになったのは、この頃からです。
地積測量図は、登記所(法務局や地方法務局など)で保管されるようになりました。

しかし、この頃は平板測量機を使って測量されており、精度は高くありません。
1970年代になって、徐々にトランシットと呼ばれる測量機器が使われるようになります。
それまでは、三角測量と言われる、三角形の網(もう)を作り、三角形の各点の位置(角度)を求めていく方法による測量でしたが、三辺測量と言われる、三角形の各辺(距離)を測る方法に代わっていきます。
現在では、トータルステーションという距離と角度を同時に観測できる測量機器が使われています。

そして1993年(平成5年)10月に、不動産登記法が改正されます。
原則として、どのような境界標が現地にあるかを明記することになりました。
永久境界標の埋設がされるようになり、境界を立会による確認が厳格化されるようになります。
また、座標値がある地積測量図が増えてきます。
これ以後に作成された地積測量図は、ある程度参考になる精度の測量図がといえるかもしれません。

さらに2005年(平成17年)3月に、不動産登記法が改正されます。
このときから、世界共通の座標値を使った座標法が主流となり、復元能力が高まります。
もし、現地に設置されている境界標が何らかの理由でなくなってしまっても、かなりの精度で復元することが可能となりました。
また、このときから、隣接地所有者との立会いが必須となります。
それ以後に作成された地積測量図は、隣接地所有者と境界確認が済んでおり、復元もできるほどの精度の高い測量図であるといえるでしょう。

法務局に備え付けられている地積測量図が、「いつ作製されたか」をみることが大切です。
例えば、隣接地所有者との立会いを行わずに作成された地積測量図は、所有者本人の申告で作成されたものに過ぎません。
境界の位置が変われば、その土地の面積も変わります。
地積測量図が作成された年代の時代背景を考慮して、現地を確認しながら、参考にすることが良いでしょう。

地積測量図と確定測量図や現況測量図との違い

先述したように、地積測量図は製作された年代によって精度が異なります。
また、隣接地所有者との立会いによって境界を確定させた図面もあれば、隣接地所有者との立会いを行わず、所有者の申告によって境界を指示し製作された図面もあります。

ただし、現在でも、すべての境界について確定している図面のみを作成・流通させているわけではありません。
例えば一般個人や一般法人などの隣接地所有者との立会いは行っているが、国や地方自治体が所有している道路など官地の境界確認は済ませずに作成された図面があります。
また、所有している図面が古くに作製されたものであるため、現在の距離と角度を同時に観測できる測量機器を使って面積を算出するために測量を行いたい、という事情によって製作されることもあるでしょう。
このとき、いずれの隣接地所有者とも立会いを行わずに作製されることもあります。
このように、目的によって様々な測量図を作製することが考えられます。

上記のうち、すべての境界について隣接地所有者との立会いによって境界を確定させ、正規の方法により作成された測量図を「確定測量図」といいます。
それ以外の方法により作成された測量図は、「現況測量図」といいます。
一般的に「仮測量図」と言われるものは「現況測量図」を指していますが、正確には「仮測量図」という言い方はしません。

先述のとおり、「地積測量図」は、法務局に備え付けられている測量図です。
一方で、「確定測量図」にも、「現況測量図」にも、「地積測量図」ではないという図面もあります。
すべての境界について隣接地所有者との立会いによって境界を確定させ、正規の方法により作成された「確定測量図」であっても、法務局に備え付けられずに、各所有者が持ち合って保管していることもあり得るわけです。

土地所在図とは

以前、地番についてのブログで、国有財産である国有地には地番が付されていないということをお話ししました。
例えば里道として使われていた国有地や、水路として使われていた国有地があります。
その国有地に隣接しているなどの理由から、財務省を通じて国より払い下げを受けたときには、当該土地について表題登記を行う必要があります。
このときに、土地の所在図が確認できなければなりません。

土地所在図とは、一筆ないし数筆の土地の法的な所在を表示する図面のことをいいます。
左記のような事情で表題登記を行う場合には、土地所在図を一緒に添付します。

不動産の建物に関する図面、建物図面・各階平面図

建物に関する図面も法務局に備え付けられています。
建物の位置が表示された「建物図面」と、各階ごとの建物の形状が表示された「各階平面図」があります。
概ね「建物図面」と「各階平面図」は一緒になっています。

具体的には、「建物図面」は、建物が建っている土地に対して、建物がある位置や形状、面積が表示されています。
そして「各階平面図」は、各階の床面積や求積方法が表示されています。

建物が建っている敷地の地番が表示されていますので、「建物図面」を参考に対象となっている土地地番を特定するために利用することがあります。
「建物図面」によって、実は他人地も含めて建っていたということがわかる、ということもあります。
また、建物の形状から、登記された後に増築されていたことがわかる、ということもあります。

1965年(昭和40年)に登記申請時に「建物図面」の添付が義務化されるようになりますが、1965年(昭和40年)以前の建物は「建物図面」がない可能性があります。
「建物図面」がない場合は、建築確認の窓口にある建築計画概要書や税務署備付けの建物の課税に関する配置図、もしくは設計図書等を参考にするとよいでしょう。

終わりに

今回は、「登記されている不動産の図面」について、お話し致しました。

特に、土地に関する図面についてお話し致しましたが、現在の不動産売買取引では確定測量図を求められることも少なくありません。
確定測量図の作製には時間や手間がかかり、費用もかさみます。
作製が必要と考えられる際には、余裕をもって対応することが望ましいでしょう。

また、確定測量図は、不動産売買取引で義務化されているわけではありません。
対象の不動産とその取引を想定し、どのような図面が現在あって、どのような図面を用意しなければならないか、判断されることに役立つようであれば幸いです。