一定の要件を満たす不動産の売却(マイホームや空き家の売却、国や地方公共団体などが、公共事業のための収用等による売却など)については、特例の適用を受けることで、譲渡所得から100万円から5,000万円を特別控除することができます。
ここでは、不動産の譲渡所得に関する特別控除についてお話し致します。
※記事の内容は、掲載時点の法令・情報に基づいています。そのため、最新の法令や情報のご確認をお願い致します。
※税金の内容によっては、非税理士により行うことが禁止されている税理士業務に抵触する可能性があります。具体的なご相談は、必ず税理士や税務官公署等にお願い致します。
居住用不動産(マイホーム)を売却した場合の特別控除
居住用財産の譲渡(マイホームの売却)をした場合は、その譲渡益(売却益)から最高3,000万円を差し引いて税額を計算することができます。
なお、居住用財産の譲渡(マイホームの売却)とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
(1) 現在、居住している家屋を譲渡(売却)した場合
(2) 現在、居住している家屋とともに、その敷地である土地等を譲渡した場合(土地には借地権等があるものも含みます)
(3) 以前に居住していた家屋、またはその家屋とともにその敷地である土地等を譲渡(売却)した場合
(4) 現在、居住している家屋、または以前に居住していた家屋を取り壊し、その敷地であった土地等を譲渡(売却)した場合
それぞれ適用できるかどうか、注意事項がございます。
なお、居住用財産の譲渡(マイホームの売却)とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
(1) 現在、居住している家屋を譲渡(売却)した場合
(2) 現在、居住している家屋とともに、その敷地である土地等を譲渡した場合(土地には借地権等があるものも含みます)
(3) 以前に居住していた家屋、またはその家屋とともにその敷地である土地等を譲渡(売却)した場合
(4) 現在、居住している家屋、または以前に居住していた家屋を取り壊し、その敷地であった土地等を譲渡(売却)した場合
それぞれ適用できるかどうか、注意事項がございます。
注意事項:譲渡(売却)の相手方
上記(1)~(4)に該当しても、譲渡の相手方が次に掲げるものである場合は、対象となりません。
I. 譲渡者の配偶者、および直系血族
II. 譲渡者と生計を一にしている親族
III. 家屋の譲受け後その家屋に譲渡者と同居する親族
IV. 譲渡者と内縁関係にある者、およびその者と生計を一にしている親族
V. その他譲渡者と特殊の関係のある個人、または法人
I. 譲渡者の配偶者、および直系血族
II. 譲渡者と生計を一にしている親族
III. 家屋の譲受け後その家屋に譲渡者と同居する親族
IV. 譲渡者と内縁関係にある者、およびその者と生計を一にしている親族
V. その他譲渡者と特殊の関係のある個人、または法人
注意事項:既に特例を使っていないか(1)
上記(1)~(4)に該当しても、不動産を売却した年の前年および前々年に、この特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例の適用を受けている場合は、対象となりません。
注意事項:既に特例を使っていないか(2)
上記(1)~(4)に該当しても、売った年、その前年および前々年に、マイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けている場合は、対象となりません。
注意事項:既に収用等の特例を使っていないか
上記(1)~(4)に該当しても、売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けている場合は、対象となりません。
注意事項:住まなくなってから3年以上経過している?(1)
上記(3)について、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければなりません。
注意事項:住まなくなってから3年以上経過している?(2)
上記(4)について、その敷地の譲渡(売買)契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければなりません。
注意事項:その他の用途に供していないか(1)
上記(4)について、家屋を取り壊してから譲渡(売買)契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場など、その他の用途に供していない場合に限ります。
注意事項:その他の用途に供していないか(2)
上記(4)について、その家屋を取り壊した日から譲渡(売買)契約を締結した日まで、その土地等を貸付けなど、その他の用途に供していない場合に限ります。
注意事項:災害によって滅失した居住用家屋の敷地
災害によって滅失した居住用家屋の敷地であった土地等の譲渡(売却)についても対象とされます。ただし、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければなりません。
注意事項:その他注意事項
I. この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋は、対象とならず、適用されません。
II. 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋は、対象とならず、適用されません。
III. 別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋は、対象とならず、適用されません。
II. 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋は、対象とならず、適用されません。
III. 別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋は、対象とならず、適用されません。
ポイント!:所有期間に関わらず適用することができます
適用除外となるような項目をたくさんあげましたが、長く居住されてきたご自宅を売却しようというときには、まずは検討してみていただくと良い、特別控除の方法です。
この特別控除は、所有期間に関わらず適用することができます。
売却時の譲渡益(売却益)が3,000万円に満たない場合は、控除され、税額がなくなります。
一方、譲渡益(売却益)が3,000万円を超える場合は、超えた金額に対して、所有期間に応じて、短期譲渡所得または長期譲渡所得などの税率を適用することになります。
この特別控除は、所有期間に関わらず適用することができます。
売却時の譲渡益(売却益)が3,000万円に満たない場合は、控除され、税額がなくなります。
一方、譲渡益(売却益)が3,000万円を超える場合は、超えた金額に対して、所有期間に応じて、短期譲渡所得または長期譲渡所得などの税率を適用することになります。
被相続人の居住の用に供されていた空き家等を売却した場合の特別控除
被相続人の居住の用に供されていた家屋およびその敷地を、相続または遺贈によって取得した相続人が、令和5年12月31日までに譲渡(売却)した場合は、相続時から譲渡時まで空き家であったことなど、一定の要件を満たせば、譲渡益(売却益)から3,000万円特別控除の適用を受けることができます。
要件:被相続人の居住家屋について
(1)「相続開始直前において、被相続人が居住していた家屋であること」
ただし、老人ホーム等に入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋及びその敷地は、一定の要件を満たす場合に限り、相続開始直前において被相続人が居住していたものとされます。
(2)「相続開始直前において、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと」
(3)「昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有登記された建物を除く)であること」
ただし、老人ホーム等に入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋及びその敷地は、一定の要件を満たす場合に限り、相続開始直前において被相続人が居住していたものとされます。
(2)「相続開始直前において、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと」
(3)「昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有登記された建物を除く)であること」
要件:被相続人の居住の用に供されていた敷地について
相続開始直前において、被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等であること。
ただし、老人ホーム等に入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋及びその敷地は、一定の要件を満たす場合に限り、相続開始直前において被相続人が居住していたものとされます。
ただし、老人ホーム等に入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋及びその敷地は、一定の要件を満たす場合に限り、相続開始直前において被相続人が居住していたものとされます。
要件:空き家であること
相続時から譲渡時まで、事業用、貸付用、居住用に供されていないこと。
要件:耐震リフォーム
(1)「相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの譲渡(売却)であること」
(2)「譲渡価額が1億円以下であること」
(3)「譲渡時において、一定の耐震基準に適合する家屋であること」
ただし、耐震性を有する建物である場合は不要です。
また、次の「建物取り壊し」と選択できます。
(2)「譲渡価額が1億円以下であること」
(3)「譲渡時において、一定の耐震基準に適合する家屋であること」
ただし、耐震性を有する建物である場合は不要です。
また、次の「建物取り壊し」と選択できます。
要件:建物取り壊し
(1)「相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの譲渡(売却)であること」
(2)「譲渡価額が1億円以下であること」
(3)「家屋の全部を取壊した後に、被相続人居住用家屋の敷地等を売ること」
前項の「耐震リフォーム」と選択できます。
(2)「譲渡価額が1億円以下であること」
(3)「家屋の全部を取壊した後に、被相続人居住用家屋の敷地等を売ること」
前項の「耐震リフォーム」と選択できます。
注意するポイント!
「空き家の譲渡所得の特別控除」は、「取得費加算の特別控除」(下記参考を参照:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)と、選択適用となりますので、ご注意ください。
一方で、例えば、相続で取得した親の自宅(空き家)の売却と、相続人である子どものマイホーム取得が同一年となった場合など、「空き家の譲渡所得の特例」と「他の譲渡所得や所得税の特例」との併用は、制限されません。
ただし、マイホームの3,000万円控除とは、同一年の合計で控除できる限度額は3,000万円となります。
相続により不動産を取得され、その不動産を売却されたいときには、この特別控除利用することを検討されるとよいでしょう。
なお、耐震リフォームを行うにせよ、建物取り壊しをおこなうにせよ、その費用が必要です。
不動産を売却して、その売却益を得る前に、耐震リフォーム費用(もしくは建物取り壊し費用)の支払いが発生します。
税金の控除後に残る金額を検討されることと並行して、手元資金の入出金のタイミングを十分に考慮し、資金ショートをおこさないようにご注意ください。
一方で、例えば、相続で取得した親の自宅(空き家)の売却と、相続人である子どものマイホーム取得が同一年となった場合など、「空き家の譲渡所得の特例」と「他の譲渡所得や所得税の特例」との併用は、制限されません。
ただし、マイホームの3,000万円控除とは、同一年の合計で控除できる限度額は3,000万円となります。
相続により不動産を取得され、その不動産を売却されたいときには、この特別控除利用することを検討されるとよいでしょう。
なお、耐震リフォームを行うにせよ、建物取り壊しをおこなうにせよ、その費用が必要です。
不動産を売却して、その売却益を得る前に、耐震リフォーム費用(もしくは建物取り壊し費用)の支払いが発生します。
税金の控除後に残る金額を検討されることと並行して、手元資金の入出金のタイミングを十分に考慮し、資金ショートをおこさないようにご注意ください。
収用等により土地建物などの不動産を売却したときの特別控除
国や地方公共団体などが公共事業を行うための収用等により土地建物を売却したときは、下記のような特別控除があります。
1. 収用等に伴い代替資産を取得した場合の特別控除
2. 収用等により土地建物を売却した場合の特別控除
3. 特定土地区画整理事業等のために土地等を売却した場合の特別控除
4. 特定住宅地造成事業等のために土地等を売却した場合の特別控除
5. 農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合の特別控除
1. 収用等に伴い代替資産を取得した場合の特別控除
2. 収用等により土地建物を売却した場合の特別控除
3. 特定土地区画整理事業等のために土地等を売却した場合の特別控除
4. 特定住宅地造成事業等のために土地等を売却した場合の特別控除
5. 農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合の特別控除
収用等に伴い代替資産を取得した場合の特別控除
土地収用法による収用や収用を背景とした土地や建物の売買契約などによって、土地や建物などを売却して補償金などを取得し、その補償金などの全部で代わりの資産を購入取得した場合や、補償金の代わりに同じ種類の資産をもらった場合には、税金はかかりません。
また、もらった補償金の一部で代わりの資産を取得した場合には、もらった補償金のうち、残額についてのみ、税金がかかります。
また、もらった補償金の一部で代わりの資産を取得した場合には、もらった補償金のうち、残額についてのみ、税金がかかります。
収用等により土地建物を売却した場合の特別控除
土地収用法による収用や収用を背景とした土地や建物の売買契約などによって、土地や借地権、建物などの資産を売却した場合で、その譲渡が原則として公共事業施行者からの買取りの申出があった日から6か月以内に行われる等の要件を満たしているときは、その譲渡益(売却益)から5,000万円を差し引くことができます。
特定土地区画整理事業等のために土地等を売却した場合の特別控除
国や地方公共団体、独立行政法人都市再生機構などが行う土地区画整理事業により土地等が買い取られた場合や、都市緑地法など特定の法律に規定する買取請求に基づき土地等が買い取られた場合などには、その譲渡益(売却益)から2,000万円を差し引くことができます。
特定住宅地造成事業等のために土地等を売却した場合の特別控除
地方公共団体や独立行政法人都市再生機構などが行う住宅の建設または宅地の造成を目的とする事業のために土地等が買い取られる場合や、土地収用法等に基づく収用を行う者等によってその収用の対償にあてるために土地等が買い取られる場合、または、公有地の拡大の推進に関する法律など特定の法律に基づき土地等が一定の目的のために買い取られる場合などには、その譲渡益(売却益)から1,500万円を差し引くことができます。
農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合の特別控除
農業振興地域の整備に関する法律に基づく勧告に係る協議、調停、あっせんにより土地等を売却した場合や、工業等導入地区内の農用地を工場用地に供するために売却した場合などには、その譲渡益(売却益)から800万円を差し引くことができます。
不動産を売却したときのその他の特例
その他の特例として、下記のような特別控除があります。
1. 平成21年および平成22年に取得した土地等を売却した場合の特別控除
2. 都市計画区域内の低未利用土地等を売却した場合の特別控除
1. 平成21年および平成22年に取得した土地等を売却した場合の特別控除
2. 都市計画区域内の低未利用土地等を売却した場合の特別控除
平成21年および平成22年に取得した土地等を売却した場合の特別控除
リーマンショックにより落ち込んだ景気対策として考えられた特別控除です。
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得した土地等の長期譲渡所得については、その譲渡益(売却益)から1,000万円を差し引くことができます。
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得した土地等の長期譲渡所得については、その譲渡益(売却益)から1,000万円を差し引くことができます。
都市計画区域内の低未利用土地等を売却した場合の特別控除
令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間に、譲渡価額500万円以下で都市計画区域内にある低未利用土地等を売却した場合の土地等の長期譲渡所得については、その譲渡所得から100万円を差し引くことができます。
なお、低未利用土地等とは、居住の用、事業の用その他の用途に利用されておらず、または、その利用の程度がその周辺の地域における同一の用途もしくはこれに類する用途に利用されている土地の利用の程度に比し、著しく劣っている土地や当該低未利用土地の上に存する権利のことをいいます。
本特例措置を適用しようとする土地等が、低未利用土地等に該当することおよび当該低未利用土地等について買主が取得後に利用する意向があること等を、市区町村が確認したものである必要があります。
なお、低未利用土地等とは、居住の用、事業の用その他の用途に利用されておらず、または、その利用の程度がその周辺の地域における同一の用途もしくはこれに類する用途に利用されている土地の利用の程度に比し、著しく劣っている土地や当該低未利用土地の上に存する権利のことをいいます。
本特例措置を適用しようとする土地等が、低未利用土地等に該当することおよび当該低未利用土地等について買主が取得後に利用する意向があること等を、市区町村が確認したものである必要があります。
終わりに
今回のお話しでは、特に「マイホームを売却した場合の特別控除」と「被相続人の居住の用に供されていた空き家等を売却した場合の特別控除」の2つが、ポピュラーな特別控除です。
相続がおこる前に、ご自宅を売却する場合は、「マイホームを売却した場合の特別控除」を、まずはご検討ください。
一方で、相続が発生した後に、ご自宅を売却する場合は、「被相続人の居住の用に供されていた空き家等を売却した場合の特別控除」を、まずはご検討ください。
いずれも不動産の譲渡益(売却益)から3,000万円を控除できる特別控除であり、所有期間を問わないため、広く活用できる可能性があります。
税制を賢く活用して、事前に対策をしておきましょう。
相続がおこる前に、ご自宅を売却する場合は、「マイホームを売却した場合の特別控除」を、まずはご検討ください。
一方で、相続が発生した後に、ご自宅を売却する場合は、「被相続人の居住の用に供されていた空き家等を売却した場合の特別控除」を、まずはご検討ください。
いずれも不動産の譲渡益(売却益)から3,000万円を控除できる特別控除であり、所有期間を問わないため、広く活用できる可能性があります。
税制を賢く活用して、事前に対策をしておきましょう。